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声は一生変わらないという誤解。理想の響きへ書き換える方法

 

自分の声を「諦める」のはまだ早い

「自分の声が嫌いだ」と感じたことがない人は、おそらくこの世に一人もいないのではないでしょうか。友人との通話を録音したものを聞いた時、あるいはプレゼンの練習をビデオで振り返った時。「えっ、私ってこんな変な声なの……?」と絶望した経験は、誰しもが通る道です。

日本人の多くは、自分の声を「生まれ持った宿命」だと考えています。背の高さや目の形と同じように、一生変えられないギフト(あるいは呪い)だと思い込んでいるのです。しかし、ボイストレーニングの世界から言わせれば、それは大きな誤解です。声は「骨格」によって決まる部分もわずかにありますが、それ以上に「喉の周りの筋肉をどう使うか」という、いわば「楽器の演奏技術」に近いものなのです。

もしあなたが、自分の声を「低いから」「ガラガラだから」「細くて弱々しいから」と諦めているとしたら、それは実にもったいないことです。ピアノを習えば誰でもドレミが弾けるようになるのと同じように、喉という楽器も、正しい手入れと練習次第で、いくらでも心地よい響きへと書き換えることができるのです。

声帯は「剥き出しの筋肉」であるという事実

声帯のイラスト

なぜ、声は変えられるのか。その最大の理由は、声を生み出す源である「声帯」が筋肉でできているからです。

声帯は、喉仏の奥にある2枚のヒダのような組織です。ここを吐く息が通り、振動することで音が生まれます。この声帯を引っ張ったり、緩めたり、あるいは厚く閉じたり、薄く引き伸ばしたりするのは、すべて周囲にある「喉周りの筋肉(内喉頭筋など)」の役割です。

つまり、声が細い人は「声帯を力強く閉じる筋肉」がうまく使えていないだけかもしれません。逆に声がこもってしまう人は、「共鳴腔(口の中や喉の空間)」を広げる筋肉が凝り固まっているだけかもしれません。

これって、ジムに行って腹筋を割ったり、ランニングをして体力をつけたりするのと、本質的には全く同じなんです。「もう若くないから声なんて変わらないよ」というのも、実は間違い。筋肉は何歳からでも鍛えることができます。正しい刺激を与えてあげれば、枯れていた声に「張り」が戻り、カサついていた声に「ツヤ」が宿ります。あなたの喉という楽器は、まだチューニングが終わっていないだけなのです。

「才能」ではなく「癖」:ガラガラ声の正体とは

「あの人は生まれつき良い声だからいいよね」という言葉をよく耳にします。しかし、音楽的に「良い」とされる声の持ち主の多くは、無意識のうちに喉を効率よく使う「癖」を身につけているに過ぎません。

例えば、常に喉がガラガラしている、あるいは喋るとすぐに喉が痛くなるという方。これは声帯のポテンシャルが低いのではなく、呼吸と発声のバランスが崩れている「使い方の癖」が原因であることがほとんどです。重い荷物を持つときに腰を痛める人と、全身のバネを使って軽々と持ち上げる人の違い、と言えば分かりやすいでしょうか。

声が低い、高いといった悩みも同様です。多くの日本人は日本語の特性上、喉の奥を閉じて喋る傾向があります。これが声を不必要に細くしたり、低くこもらせたりする要因になります。これを「才能がない」の一言で片付けてしまうのは、あまりにも自分に対して残酷です。

大切なのは、今の自分の声は「今の筋肉の使い方の結果」だと認識すること。結果を変えたければ、プロセス(使い方の癖)を修正すればいい。そう考えるだけで、少し心が軽くなりませんか?

理想の声をインストールする「アーティスト分析術」

では、どうすれば「理想の声」に近づけるのでしょうか。闇雲に叫んでも喉を痛めるだけです。ここで提案したいのが、憧れのアーティストの声を「分析」し、自分の喉の構造に落とし込むというステップです。

まずは、あなたが「こんな声になりたい」と思う歌手やナレーターを一人選んでみてください。そして、その人の声をじっくり観察します。

その人は、口を大きく開けて歌っていますか? それとも脱力してリラックスしていますか?

吐く息の量は多いですか? それとも、密度の高い、芯のある声ですか?

明るい響き(高い位置での響き)ですか? それとも、胸に響くような深い音ですか?

「真似をする」というと、単なるモノマネに聞こえるかもしれませんが、実はこれがボイストレーニングにおいて最も効率的な学習法の一つです。そのアーティストが声を出している時の「喉の状態」を想像し、自分の喉で再現してみようとするプロセスが、普段使っていない筋肉を呼び覚ますスイッチになります。

例えば、ハスキーで魅力的な歌手を分析すると、意外にも「息をたっぷり混ぜて、喉の空間を広げている」という共通点が見つかったりします。それを自分の喉で試してみる。最初はうまくいかなくても、「あ、今、一瞬だけあの人の響きに似たかも!」という感覚を繰り返すことで、喉の神経回路が新しく書き換えられていくのです。

1日1分の魔法。ハミングが声の輪郭を変える理由

具体的なトレーニングとして、今日からすぐに始められる最強のメソッドを紹介します。それが「1日1分のハミング」です。

ハミング、つまり鼻歌ですね。口を閉じて「うーん」と声を出す。実はこれ、プロの歌手もウォーミングアップに必ず取り入れるほど、理にかなった喉の筋トレなんです。

なぜハミングが良いのか。それは「声帯への負担を最小限に抑えつつ、効率よく共鳴を感じられるから」です。口を閉じているため、吐き出される息の圧力が喉に適度にかかり、声帯が綺麗に閉じやすくなります。また、鼻腔(鼻の奥の空間)に響きを集める感覚が掴みやすいため、ぼやけていた声の輪郭が、驚くほどハッキリしてきます。

やり方は簡単です。

リラックスして、口を軽く閉じます。

前歯のあたりが「ジリジリ」と細かく震えるのを感じながら、「んー」と低めの音を出します。

そのまま、サイレンのように少しずつ音程を上げたり下げたりしてみてください。

これを毎日1分続けるだけで、喉の周りのインナーマッスルが整い、喋り始めの一声目が劇的に出しやすくなります。「おはようございます」の声がこれまでより明るく響くようになるのを、きっと実感できるはずです。

一生モノの「響き」を手に入れるために

声は、あなたという人間を映し出す鏡であり、一生付き合っていくパートナーです。そのパートナーを「自分には才能がないから」と見捨ててしまうのは、あまりにも寂しいことだと思いませんか。

筋トレと同じで、正しい方法でアプローチすれば、声は必ず応えてくれます。コンプレックスだったガラガラ声が渋みのある魅力的な低音に変わり、細くて自信のなかった声が凛とした説得力を持つようになる。その変化は、あなたのコミュニケーションを、そして人生そのものを、少しだけ明るく照らしてくれるはずです。

まずは今日、お風呂の中で1分間のハミングから始めてみてください。あなたの「本当の声」は、まだ喉の奥で、見つけてもらえるのを待っています。


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