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リズム感は才能ではない?心地よいグルーヴを生み出す練習法

目次
- リズム感は「才能」ではなく「慣れ」の問題である
- 「拍子」と「リズム」の違いを知っていますか?心臓の鼓動と歩調のたとえ
- なぜ日本人の歌は「のっぺり」聞こえるのか?秘密は「裏拍」にあり
- 「表拍」は決して悪くない!日本文化が育んだ独自の美学と個性
- 最新ヒット曲の複雑なリズムを攻略する!初心者のための「解体」ステップ
- まとめ:リズムを味方につければ、歌はもっと自由になれる

「自分はリズム感がないから、アップテンポな曲は歌えない……」そんなふうに諦めてしまっている方は、実は驚くほどたくさんいらっしゃいます。カラオケでマイクを握っても、なんだか曲とズレてしまったり、一生懸命歌っているのになぜか素人っぽさが抜けなかったり。それを私たちはついつい「リズム感という才能が欠けているせいだ」と片付けてしまいがちです。
しかし、ちょっと待ってください。もし本当にあなたにリズム感が全く備わっていないのだとしたら、あなたは普段、道を歩くことすらままならないはずです。あるいは、自分の心臓の鼓動を感じて「次はいつ打つのだろう?」と不安になることもないでしょう。
結論から申し上げますと、リズム感は「才能」ではありません。それは、私たちが日常的に行っている動作や、文化的に慣れ親しんできた「感覚の使い分け」に過ぎないのです。音楽に詳しくない方でも、コツさえ掴めば誰でも心地よいグルーヴ(ノリ)を生み出すことができるようになります。今回は、その魔法を解き明かしていきましょう。
リズムの話をするとき、まず整理しておきたいのが「拍子(ビート)」と「リズム」の違いです。この二つを混同してしまうことが、リズム迷子になる第一歩だからです。
まず「拍子」とは、いわば音楽の「メトロノーム」のようなものです。最も身近な例で言うと、私たちの「歩くときの足音」です。 「タン、タン、タン、タン……」と、一定の感覚で刻まれる土台のことですね。あなたが一定の速度で散歩をしているとき、その右足と左足が地面につくタイミング、これが「拍子」です。
一方で「リズム」とは、その土台の上でどう歩くかということです。 例えば、散歩の途中で少し小走りをしてみたり、あるいは水たまりを避けるために一歩だけ長く足を伸ばしたり、スキップをしてみたり。一定の「タン、タン、タン、タン」という歩調(拍子)がある中で、その隙間にどんな変化をつけるか。それが「リズム」の正体です。
「拍子」というキャンバスの上に、「リズム」という絵を描いていく。このイメージを持つだけで、音楽の聴き方が少し変わってきませんか?歌が上手くいかないときは、まずキャンバスである「拍子」がぐらついているのか、それとも上に描く「リズム」の形が崩れているのかを切り分けて考える必要があるのです。

演歌を歌う人
よく「日本人はリズム感が悪い」なんて厳しいことが言われますが、正確には「日本人は独特のリズム感覚を持っている」と言うべきでしょう。その最たるものが、「裏拍(うらはく)」への意識の薄さです。
現代のポップスやロック、R&Bなどのほとんどは、アメリカやヨーロッパの音楽、特にアフリカ系音楽の影響を強く受けています。これらの音楽の肝は、1、2、3、4というカウントの「1」と「2」の間の部分、つまり「裏」を感じることにあります。
しかし、日本語という言語は一音一音に母音があり、言葉の頭にアクセントが来やすい性質を持っています。そのため、どうしても「表拍」で音を捉えてしまいがちです。
歌が「のっぺり」してしまう原因は、まさにここにあります。全ての文字を「表」のタイミングだけで律儀に置いていってしまうと、まるで小学校の教科書を音読しているような、平坦な歌い方になってしまうのです。 一流のシンガーの歌をよく聴いてみてください。彼らはあえて言葉を少し遅らせたり、拍と拍の間の「何もない空間(裏拍)」で声を跳ねさせたりしています。この「裏」を意識することで、歌に立体感が生まれ、聴いている人が思わず体を揺らしたくなるような「グルーヴ」が発生するのです。
ここでひとつ、強調しておきたいことがあります。それは「表拍(オンビート)がダメで、裏拍(バックビート)が優れている」というわけではないということです。
日本の伝統的な音楽、例えば「盆踊り」や「民謡」、あるいは「演歌」などを思い浮かべてみてください。これらは基本的に「ドン・パン、ドン・パン」という表拍の力強さを活かした音楽です。大地をしっかりと踏みしめるような、安定感と様式美。これは日本人が長い歴史の中で育んできた、素晴らしい音楽的個性なのです。
農作業のときのかけ声や、お祭りの太鼓。これらはすべて、みんなで一斉に「せーの!」で合わせるためのリズムです。この同調性は、日本人の和を重んじる精神性とも深く結びついています。
ですから、自分の歌が「表拍っぽい」からといって、それを恥じる必要は全くありません。それはあなたのルーツに刻まれた、力強いリズム感の証拠でもあります。大切なのは「使い分け」です。どっしりと歌いたいときは表を意識し、オシャレに、あるいは軽快に聴かせたいときは裏を意識する。この「リズムの引き出し」を増やすことこそが、上達への近道なのです。
最近のJ-POPは、昔に比べて格段にリズムが複雑になっています。ヒゲダン(Official髭男dism)やYOASOBI、Vaundyといったアーティストの曲を聴くと、「えっ、今どこで言葉が入ったの?」と驚くようなトリッキーなリズムが満載です。 これらをそのままコピーしようとすると、パニックになってしまうのも無理はありません。
そこで、複雑なリズムを自分のものにするための「解体ステップ」をご紹介します。
ステップ1:まずは「聴く」ことに専念する
いきなり歌おうとせず、まずは伴奏の中で鳴っているドラムやベースの音だけを追いかけてみてください。特に「スネアドラム(パシッという高い音)」がどこで鳴っているかに注目しましょう。
ステップ2:歌詞を「呪文」のように唱える
メロディを一度忘れ、歌詞だけをリズムに合わせて口ずさんでみます。このとき、膝を叩きながら、言葉が拍の「前」にあるのか「後ろ」にあるのかを確認します。メロディという要素を外すだけで、驚くほどリズムがクリアに見えてきます。
ステップ3:スピードを落として再現する
最近のサブスクアプリやYouTubeには、再生速度を変える機能があります。0.75倍速くらいに落として、ゆっくりとリズムのパズルを解いていきましょう。速いテンポでは誤魔化せていた「ズレ」が浮き彫りになりますが、そこを丁寧に修正していくことが、グルーヴへの唯一の道です。
リズム感とは、決して選ばれた人だけが持つ特殊能力ではありません。それは、自分の鼓動を感じ、歩調を楽しみ、音楽という波に乗るための「ちょっとしたコツ」の集まりです。
最初は裏拍を感じるのが難しくても、毎日少しずつ「おっ、今のタイミングはカッコよかったな」という瞬間を積み重ねていけば、あなたの歌は劇的に変わります。のっぺりとした歌から、聴く人の心を弾ませる歌へ。リズムを知ることは、音楽という世界の解像度を上げることでもあるのです。
もし、「一人で練習していても、正しくリズムに乗れているか自信がない……」「もっと専門的な視点で自分のリズムをチェックしてほしい」と感じたら、プロの手を借りるのもひとつの素晴らしい選択肢です。
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