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2026.01.29
コラムバレンタイン間近!バレンタインの定番ソングといえば?
【目次】
もうすぐ2月。デパートの特設会場やスーパーの製菓コーナーは、一気に華やかなピンク色やブラウンに染まります。そう、バレンタインデーの到来です。
かつては「女性から男性へ愛を告白する日」という定義が一般的でしたが、最近では「自分へのご褒美チョコ」や「友チョコ」、あるいは感謝を伝える「推しチョコ」など、その楽しみ方は多様化しています。しかし、時代がどれほど変わっても変わらないものが一つだけあります。それは、この季節になると必ず耳にする「バレンタイン・ソング」たちの存在です。
音楽には、特定の記憶や感情を呼び起こす「プルースト効果」のような力があります。特定のメロディを聴くだけで、甘酸っぱい記憶や、誰かを想う高揚感が蘇ってくる……。今回は、日本中が恋に揺れるこの季節に欠かせない定番曲の凄さと、それらを魅力的に歌いこなすヒントについて、音楽的な視点からじっくりとお話ししていきたいと思います。
日本のバレンタイン・ソングを語る上で、この曲を避けて通ることはできません。1986年にリリースされた国生さゆりさんの「バレンタイン・キッス」です。リリースから約40年近く経とうとしている今でも、この季節のBGM支持率で圧倒的1位に君臨し続けています。
なぜ、この曲はこれほどまでに寿命が長いのでしょうか。その理由は、計算され尽くした「隙」と「キャッチーさ」にあります。
作曲は、数々のヒット曲を手がけた瀬尾一三さん。80年代アイドルポップスの王道を行く弾けるようなリズムと、思わず口ずさみたくなる「シャラララ」というコーラス。この「シャラララ」があることで、聴き手は無意識に曲に参加している気分になります。また、歌詞にある「リボンをかけて」「ワインの色した」といった具体的な小道具の描写が、聴く人の脳内にバレンタインの情景を鮮明に映し出すのです。
近年では多くのアニメキャラクターやアーティストにカバーされ、Z世代にとっても「どこかで聴いたことがある名曲」として定着しています。もはや楽曲の枠を超え、行事そのものの「サウンドロゴ」化していると言っても過言ではありません。
「バレンタイン・キッス」が昭和から続く伝統芸能だとしたら、2000年代以降のバレンタインを塗り替えたのがPerfumeの「チョコレイト・ディスコ」です。
中田ヤスタカさんがプロデュースしたこの曲は、それまでの「恋の告白」という重厚なテーマを、軽やかな「ディスコ・ビート」へと昇華させました。歌詞の構成も非常にユニークで、サビのほとんどが「チョコレイト・ディスコ」というフレーズの繰り返し。しかし、このミニマルな反復こそが、バレンタイン前のソワソワした気持ちや、街全体の浮かれた空気感を見事に表現しています。
この曲の凄さは、「4つ打ち」のキック音(低音)の心地よさにあります。買い物中にこの曲が流れてくると、無意識に歩幅がリズムに合ってしまい、気づけばカゴにチョコレートを入れている……そんな経験はありませんか? 音楽が購買意欲を刺激するだけでなく、バレンタインを「楽しいイベント」として再定義した歴史的な一曲なのです。
定番曲は明るいものだけではありません。バレンタインの季節に放送される恋愛ドラマの主題歌も、私たちの記憶に深く刻まれています。
例えば、嵐の「Bittersweet」。松本潤さん主演のドラマ『失恋ショコラティエ』の主題歌として大ヒットしました。タイトル通り、単に甘いだけではない「ほろ苦い(ビタースイート)」恋心が描かれています。
また、miwaさんの「ホイッスル〜君と過ごした日々〜」や、家入レオさんの「チョコレート」など、思春期の等身大の葛藤を歌った楽曲も、この時期になるとラジオやストリーミングサービスで再生数が急上昇します。
これらの曲に共通しているのは、「結果がどうあれ、相手を想うプロセスそのものが尊い」というメッセージです。成功する告白だけでなく、言えなかった言葉や、届かなかった想いまでもが音楽によって肯定される。これこそが、大人がバレンタイン・ソングを聴いて涙してしまう理由なのかもしれません。
さて、これら名曲の数々を自分でも歌ってみたい、あるいはカラオケで披露したいという方も多いでしょう。ここでは、ボーカルスクールの視点から、バレンタイン・ソングをより魅力的に聴かせるためのテクニックを紹介します。
1. 「可愛らしさ」を演出する発声のポイント
バレンタイン・ソングには、少し鼻にかかったような「甘い声」がよく合います。専門的には「共鳴腔」の使い方を工夫します。声を口の奥から出すのではなく、上の前歯の裏あたりに当てるイメージで発声してみてください。これにより、声のトーンが明るくなり、歌詞に込められた「ウキウキ感」がダイレクトに伝わるようになります。
2. リズム感で「ときめき」を表現する
特に「チョコレイト・ディスコ」のようなアップテンポな曲の場合、リズムを正確になぞるだけでは不十分です。少しだけ「前乗り」気味(拍よりわずかに早く声を出すイメージ)に歌うことで、恋に急ぐような躍動感が生まれます。逆にバラード系なら、語尾を少し長めに余韻を残して歌うと、切なさが際立ちます。
ところで、なぜ毎年同じ曲ばかりが流れるのでしょうか。「飽きないの?」と思うかもしれませんが、人間の脳には「予測の心地よさ」という性質があります。
「この季節にはこの曲が流れるはずだ」という予測が的中したとき、脳内ではドーパミンが分泌され、安心感と快感を得ることができます。これはお正月の「春の海」やクリスマスの山下達郎さんも同じですね。
特にバレンタインは、期待と不安が入り混じるイベントです。そんな不安定な心境のときに、耳馴染みのある「定番曲」が流れてくることは、私たちの心を落ち着かせ、一歩踏み出す勇気を与えてくれるサプリメントのような役割を果たしているのです。
バレンタインの定番ソングたちは、単なる流行歌ではなく、私たちの人生の大切なワンシーンを彩る「サウンドトラック」です。
もし今年、あなたが誰かに想いを伝えようとしているなら、あるいは自分自身を労わろうとしているなら、ぜひお気に入りのバレンタイン・ソングを味方につけてみてください。音楽の力を借りれば、いつもの風景が少しだけドラマチックに見えてくるはずです。
チョコレートは食べてしまえばなくなりますが、心に深く刻まれた音楽と、その時の感情は一生消えることはありません。今年の2月14日が、あなたにとって素晴らしいメロディに満ちた一日になることを願っています。
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