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紅白を最後に活動休止。Perfumeについて解説

2025年の大晦日、私たちは一つの時代の区切りを目撃することになります。テクノポップユニット・Perfumeが、NHK紅白歌合戦のステージを最後に活動休止に入ることが発表されました。広島のスクール生だった少女たちが、最先端のテクノロジーを身にまとい、世界を熱狂させるまでの物語。それは、単なるアイドルの成功譚ではなく、音楽史に残る「奇跡」の連続でした。

25周年を目前にした「前向きな句読点」

Perfumeが結成されたのは2000年のこと。そう、彼女たちは25年という、四半世紀にわたる時間を共に歩んできました。小学校高学年だった「あ〜ちゃん」「かしゆか」「のっち」の3人が、広島から上京し、秋葉原での路上ライブやチラシ配りを経て、今の地位を築いたのはもはや伝説と言っても過言ではありません。

今回の活動休止について、多くのファンは衝撃を受けましたが、彼女たちのコメントを丁寧に読み解くと、そこには悲壮感はありません。むしろ、25年という全力疾走を続けてきたからこそ必要な「句読点」のようなものだと感じられます。

音楽業界において、女性グループがメンバーを一人も入れ替えず、25年間トップを走り続けることは極めて異例です。結婚、出産、あるいは価値観の変化など、人生の転機は数え切れないほどあったはず。それでも彼女たちが「3人でいること」を選び続けてきたからこそ、この活動休止は「終わり」ではなく、次なるステージへ進むための「整頓」の期間なのだと言えるでしょう。

 

崖っぷちから始まった「ポリリズム」の奇跡

Perfumeを語る上で欠かせないのが、2007年のシングル「ポリリズム」です。今でこそお茶の間の誰もが知る存在ですが、実はこの曲が出る直前、彼女たちは「次の曲がダメなら契約終了」という、文字通りの崖っぷちに立たされていました。

当時のJ-POP界において、無機質な電子音で歌うテクノポップは、決してメインストリームではありませんでした。「アイドルなのに無表情に踊り、声に加工をかけるなんて邪道だ」という声すらあったのです。しかし、NHKのエコキャンペーン・ソングに起用された「ポリリズム」の、複雑なリズム(ポリリズム構造)と中毒性のあるメロディは、音楽マニアから一般層までを瞬く間に虜にしました。

このヒットがなければ、現在の日本のポップシーン、特にダンスミュージックとアイドルの融合という形は大きく違っていたはずです。彼女たちは自らの手で、閉ざされかけていた扉を力いっぱいこじ開けたのです。

 

なぜPerfumeは「人間」を感じさせるのか

Perfumeの最大の魅力は、その「ギャップ」にあります。ステージ上では、ライゾマティクスによる最新のデジタル演出やドローン、3Dスキャンといった最先端技術と完全に同期し、まるで精巧なアンドロイドのように一寸の狂いもないダンスを披露します。

ところが、ひとたびマイクを持ってMC(トーク)を始めると、そこにはコテコテの広島弁で笑いを取り、近所のお姉さんのような親しみやすさ全開の3人が現れます。この「冷たいデジタル」と「温かい人間性」の同居こそが、彼女たちが長く愛される理由です。

音楽に詳しくない方の中には、「ボーカルが加工されているから、誰が歌っても同じではないか?」と思う方もいるかもしれません。しかし、それは大きな間違いです。中田ヤスタカ氏の緻密なサウンドデザインの中にあって、あ〜ちゃんの母性を感じさせる響き、かしゆかのウィスパーで可憐なトーン、のっちの凛とした芯のある声、これらが重なり合うことで、デジタルなのにどこか切ない、独特の「情感」が生まれているのです。

 

中田ヤスタカ氏との出会いと、独特のボーカルスタイル

彼女たちの音楽性を決定づけたのは、稀代のプロデューサー・中田ヤスタカ氏との出会いです。彼は「歌い手の個性をあえて消す」ようなエフェクト処理を施しながら、その実、メロディには日本人の琴線に触れる歌謡曲的な情緒を盛り込みました。

通常のボイストレーニングでは「お腹から声を出す」「ビブラートをかける」といったことが推奨されますが、Perfumeの場合はその逆です。いかに感情をフラットにし、楽器の一部として声を機能させるか。しかし、そこには彼女たちの「意志」が確実に宿っています。

彼女たちの楽曲をよく聴くと、機械的なピッチ補正(オートチューン)が施されていても、その奥にある息遣いや、言葉の端々に宿る「湿度」が消えていないことに気づかされます。これは、長年のボイストレーニングと、お互いの声を誰よりも理解している3人だからこそ成せる業なのです。

 

紅白のステージが象徴する「究極の同期」

2025年のNHK紅白歌合戦。これが活動休止前の最後のステージとなります。Perfumeにとって紅白は、単なる歌番組ではありません。2008年の初出場以来、毎年趣向を凝らした演出で、日本の技術力とエンターテインメントの融合を世界に示してきた「晴れ舞台」です。

ハイヒールで激しく踊りながら、正確無比なフォーメーションを維持する彼女たちの姿は、もはやアスリートの領域です。最後のステージでは、これまでの代表曲のメドレーなのか、あるいは未来を暗示する新曲なのか、どのような形であれ「Perfumeの完成形」を見せてくれるに違いありません。

休止の理由は、メンバーそれぞれが「一人の人間」としての時間を大切にし、今後のキャリアや人生を再定義するためでしょう。20代、30代をすべてPerfumeという看板に捧げてきた彼女たちが、一度肩の荷を下ろし、深呼吸をする。ファンとしては寂しさは拭えませんが、その決断を尊重し、最高の笑顔で送り出すのが私たちの役目ではないでしょうか。

 

まとめ:私たちは、彼女たちの帰還を待っている

Perfumeの活動休止は、一つの時代の終わりであると同時に、新しい何かが始まる予兆でもあります。25年間、常に「最新」であり続けた彼女たちが、しばしの休息を経て、どのような姿で再び私たちの前に現れるのか。

テクノロジーがどれだけ進化しても、それを動かし、表現するのは「人の心」です。Perfumeは、その真理を25年かけて証明してくれました。紅白のラストステージ、彼女たちの最後のポーズが解かれたとき、私たちはきっと、心からの「ありがとう」を贈ることになるでしょう。

彼女たちが再びステージに戻るその日まで、私たちはこれまでの数々の名曲を聴き、その軌跡を語り継いでいきたいと思います。


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