閉じる閉じる

ニュース・ブログ

教室のロビー 教室のロビー

2026.01.08

コラム

「イヤホン難聴」を防ぐための耳の休ませ方

通勤通学の電車の中、勉強や仕事の合間、そして夜寝る前のリラックスタイム。
私たちの生活は、今や音楽なしでは語れません。サブスクリプションサービスの普及で、いつでもどこでも、世界中の膨大な楽曲にアクセスできるようになりました。

お気に入りのアーティストの新曲を、ノイズキャンセリング機能のついた高性能なイヤホンで聴く。低音がズンズンと脳を揺らし、まるで自分だけのライブハウスにいるような没入感。
音楽好きにとって、これほど幸せな時間はないですよね。

でも、ちょっとだけ立ち止まって考えてみてほしいのです。
その「幸せな時間」が、あなたの耳を少しずつ、しかし確実に壊しているかもしれないとしたら?
そして、その耳のダメージが、あなたが大切にしている「歌声」や「音感」まで奪ってしまうとしたら?

「若いから大丈夫」「まだ聞こえてるから平気」
そう思っている人ほど危険です。現代病とも言われる「イヤホン難聴」は、痛みもなく静かに進行し、気づいた時にはもう手遅れ……という怖い性質を持っています。

今回は、音楽を一生楽しむために、そして歌が上手くなりたいあなたのために、今すぐ見直すべき「耳との付き合い方」について、少し真面目にお話ししていきたいと思います。
脅すわけではありませんが、これを読んだ後、あなたのスマホのボリュームボタンを押す指が、少しだけ慎重になることを願っています。

 

電車内は騒音地獄? 知らずに音量を上げてしまう「マスキング効果」の罠

まず、あなたが普段イヤホンを使っているシチュエーションを思い出してみてください。
一番多いのは、電車やバスでの移動中ではないでしょうか。

ガタンゴトンという走行音、アナウンスの声、周りの人の話し声。地下鉄の中などの騒音レベルは、だいたい「80デシベル」前後だと言われています。これは、救急車のサイレン(近い距離)や、ピアノの音色と同じくらいの大きさです。

そんな騒音の中で、繊細なポップスの歌詞や、ロックのベースラインを聴き取ろうとすると、どうなるでしょうか。
当然、騒音に負けないように音量を上げますよね。これを音響心理学で「マスキング効果(ある音が別の音をかき消してしまう現象)」と言います。

騒音に勝つためには、それ以上の音量、つまり90〜100デシベル近い音を耳に流し込むことになります。これは、耳元で芝刈り機やドリルが動いているのと変わらないレベルです。
恐ろしいのは、周りがうるさいせいで、自分では「そんなに大音量で聴いているつもりがない」ということです。

耳の奥には「有毛細胞(ゆうもうさいぼう)」という、音を感じ取るためのアンテナのような毛が生えた細胞があります。
大音量を長時間聴き続けるということは、この繊細なアンテナを暴風雨の中に晒し続けているようなものです。最初はしなるだけで耐えてくれますが、限界を超えると毛は抜け落ち、二度と生えてきません。

有毛細胞が減るとどうなるか。
まずは高い音が聞こえにくくなります。そして、「音程(ピッチ)」を正確に捉える能力が低下します。
「最近、カラオケで音程が取りにくくなった」「微妙な音のズレがわからなくなった」
もしそう感じているなら、それは練習不足ではなく、耳のアンテナが摩耗しているサインかもしれません。

移動中に音楽を聴くなら、周囲の騒音を物理的にカットしてくれる「ノイズキャンセリング機能」がついたイヤホンを使うか、あるいは「歌詞がギリギリ聞き取れるくらい」まで音量を下げる勇気を持ってください。

 

「キーン」は耳からのSOS。ライブやフェス好き必携のアイテムとは

音楽好きなら、ライブハウスやフェスに行くことも多いでしょう。
スピーカーの目の前で全身に音を浴びる体験は最高ですが、終わった後にこんな経験はありませんか?

「耳が詰まったような感じがする」
「静かな場所に行くと、キーンという耳鳴りが止まらない」

これは「音響性外傷」と呼ばれる、耳の怪我です。
「一晩寝れば治るでしょ」と軽く考えてはいけません。この「キーン」という音は、有毛細胞が断末魔の叫びをあげているSOSサインなのです。これを何度も繰り返していると、ある日突然、耳鳴りが一生消えなくなったり、突発性難聴になったりするリスクが跳ね上がります。

そこで、音楽好きのみなさんに強くおすすめしたいアイテムがあります。
それは「ライブ用耳栓(イヤープラグ)」です。

「えっ、ライブに耳栓? 音が聞こえなくなったら意味ないじゃん!」
そう思うのも無理はありません。従来のスポンジの耳栓は、音を遮断して「モゴモゴ」した音にしてしまうため、音楽鑑賞には不向きでした。

しかし、最新のライブ用耳栓は違います。
特殊なフィルターが入っており、「音質(バランス)はそのままに、ボリュームだけを安全なレベルまで下げる」ことができるのです。
まるで、会場のスピーカーの音量つまみを少しだけ絞ったような感覚です。ボーカルの声も楽器の音もクリアに聞こえるのに、耳への突き刺さるような痛みだけがなくなります。

欧米のプロのミュージシャンや、頻繁にライブに行く音楽ファンの間では、もはや常識となりつつあるアイテムです。
大好きなアーティストの音楽を、おじいちゃんおばあちゃんになっても聴き続けたいなら、そして自分も歌い続けたいなら、「耳を守る装備」をして戦場(ライブ会場)に向かうのが、真の音楽ファンのマナーと言えるかもしれません。

 

 

寝る前の1時間は無音に。現代人に必要な「耳の断食」

現代社会は音で溢れています。
街を歩けば広告の音が流れ、店に入ればBGMが流れ、家ではテレビや動画サイトの音が流れています。私たちの耳は、朝起きてから寝る瞬間まで、休む暇なく働き続けています。

胃腸が疲れたら食事を控えるように、耳が疲れたら「音を控える」時間が必要です。
そこで提案したいのが「耳の断食」です。

やり方は簡単。寝る前の1時間だけでいいので、イヤホンを外し、テレビを消し、静寂の中で過ごしてみてください。
「無音だと落ち着かない」という人は、最初は窓の外の風の音や、遠くを走る車の音など、自然の環境音に耳を澄ませるだけでも構いません。

耳を休ませることで、疲労した有毛細胞の回復を促すことができます(完全に壊れてしまった細胞は戻りませんが、疲れているだけの細胞なら回復の余地があります)。
また、静寂は自律神経を整え、睡眠の質を高めてくれます。

「音楽を聴きながらじゃないと眠れない」という人もいるかもしれませんが、実は寝ている間も脳は音を処理し続けているため、完全な休息にはなっていません。
もし聴くとしても、スリープタイマーを使って、入眠後は音が止まるように設定するのが鉄則です。

一日中働き詰めの耳に、「今日もお疲れ様」と休息を与えてあげる。
その習慣が、10年後、20年後のあなたの聴力を守り、ひいてはあなたの歌声を支え続けてくれるはずです。

 

まとめ:良い耳が、良い歌を作る

今回は少し怖い話もしてしまいましたが、いかがでしたでしょうか。

1. 電車などの騒音下では、ノイキャンを活用して音量を上げすぎない
2. ライブには「ライブ用耳栓」を持っていく
3. 繊細な音を聞く習慣をつけることで、歌唱力が上がる
4. 寝る前は「無音」の時間を作り、耳を休ませる

どれも、今日からすぐに始められることばかりです。
音楽は逃げません。焦って大音量で浴び続けなくても、耳さえ健康であれば、一生素晴らしい音楽と共に生きていくことができます。

そして、「自分の耳の状態はどうなんだろう?」「正しく音が取れているのかな?」と不安になった時は、一度プロの環境で自分の声をチェックしてみるのもおすすめです。

【あなたの「聴く力」と「歌う力」を同時に育てます】

「最近、音程が合わなくなってきた気がする…」
「正しい発声で、喉に負担をかけずに歌いたい」
そんなお悩みをお持ちなら、オーラボイスボーカルスクールにお任せください。

当スクールでは、発声テクニックだけでなく、「音を正しく聴く(モニタリングする)」ための指導も大切にしています。
耳と喉、両方のバランスを整えることで、あなたの歌声はもっと自由に、もっと豊かになります。
まずは無料体験レッスンで、プロの指導を体感してみてください。

▼ お申し込み・詳細はこちらから
オーラボイスボーカルスクール 公式サイト