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アルバムでしか聴けない曲【ヨルシカ 編】

「ただ君に晴れ」や「春泥棒」、「だから僕は音楽をやめた」など、文学的な歌詞と透明感のあるサウンドで、若者を中心に絶大な支持を集めている男女2人組ロックバンド、ヨルシカ。
彼らの音楽は、単に「いい曲」というだけでなく、まるで一本の映画や小説を読んでいるかのような、深い物語性に満ちています。
多くのリスナーはYouTubeやサブスクリプションサービスのプレイリストで有名なシングル曲を聴いていることが多いかもしれません。
しかし、コンポーザーであるn-buna(ナブナ)さんが「ヨルシカはアルバムを通して聴いてほしい」と語るように、彼らの真骨頂はアルバムの中にこそ隠されています。アルバム全体が一つの作品として構築されており、曲順や歌詞のリンク、そして隠されたオマージュを知ることで、ヨルシカの世界は何倍にも広がっていくのです。
今回は、そんなヨルシカのアルバム収録曲の中から、特に聴き逃してほしくないディープな名曲たちをご紹介します。
SF映画からの引用、過去作との対比、そしてファンにはたまらない名曲の再録まで。知れば知るほど沼にハマること間違いなしの4曲をピックアップしました。
目次
SFの名作がモチーフ?問いかける曲「レプリカント」
まず最初にご紹介するのは、アルバム『盗作』に収録されている「レプリカント」です。
このタイトルを聞いて、ピンときた映画好きの方もいるのではないでしょうか?
そう、この曲はSF映画の金字塔『ブレードランナー』から着想を得て作られたと言われています。「レプリカント」とは、映画の中に登場する人造人間(アンドロイド)のこと。
アルバム『盗作』全体のテーマは、「破壊と構築」や「本物と偽物」といった哲学的な問いかけが含まれているのですが、この曲もまさにその系譜にあります。
「偽物の心に本物の感情は宿るのか?」「作られた存在である自分に価値はあるのか?」
そんな、どこか虚無的で、でも人間臭い葛藤が、軽快なピアノのリズムに乗せて歌われます。
メロディ自体は非常にポップで聴きやすいのですが、その裏にあるテーマはとても重厚。
「映画を見た後にこの曲を聴くと、歌詞の意味が全然違って聞こえる」というファンも多い、まさに教養と遊び心が詰まった一曲です。
n-bunaさんの「好きなものを詰め込む」というクリエイターとしての姿勢が色濃く反映されており、創作活動をしている人には特に刺さる内容かもしれません。
名曲へのアンサーソング「憂一乗」
次にご紹介するのは、アルバム『エルマ』に収録されている「憂一乗(ゆういちじょう)」です。
ヨルシカのファンにとって、この曲はただのアルバム曲ではありません。涙なしには語れない、非常に重要な文脈を持った曲なのです。
ヨルシカには『だから僕は音楽を辞めた』というアルバムと、その続編にあたる『エルマ』というアルバムがあります。
前者は音楽を辞めた青年「エイミー」の視点、後者は彼を追う女性「エルマ」の視点で描かれています。
そして、前作には「藍二乗(あいにじょう)」という代表曲が収録されているのをご存知でしょうか?
勘の良い方はもうお気づきかもしれません。
「藍二乗(I 二乗)」に対して、「憂一乗(You 一乗)」。
タイトルが対になっているのです。
「藍二乗」では、人生を滲ませてしまいたいという切実な想いが歌われていましたが、この「憂一乗」では、エイミーを想うエルマの静かな悲しみと、残された者の心情が綴られています。
歌詞の内容もリンクしている部分があり、二つのアルバムを行き来して聴くことで、「あぁ、あの時の言葉はここに繋がっていたのか」という鳥肌が立つような発見があります。
アコースティックギターの優しい音色と、ボーカルsuis(スイ)さんの透明感あふれる歌声が、夕暮れの部屋に一人でいるような孤独と美しさを演出します。
単体で聴いても素晴らしいバラードですが、ぜひ「藍二乗」とセットで聴いて、二人の物語に想いを馳せてみてください。
アコギのスラップ炸裂!悪いヨルシカ「昼鳶」
続いては、再びアルバム『盗作』から、ガラッと雰囲気を変えて「昼鳶(ひるとんび)」をご紹介します。
ヨルシカといえば「爽やか」「切ない」「透明感」といったイメージが強いですが、この曲はそのイメージを良い意味で裏切ってくれる、「ダーティーでカッコいいヨルシカ」です。
まず耳を奪われるのが、イントロのアコースティックギター。
「バチン!バチン!」と弦を叩きつけるようなパーカッシブな音が聞こえてきます。これは「スラップ奏法」と呼ばれるテクニックで、ベースなどでよく使われる奏法をアコースティックギターで大胆に取り入れています。
この攻撃的で泥臭いリズムが、曲の持つ「不良感」を一気に高めています。
そして何より注目なのが、ボーカルsuisさんの歌い方です。
普段の透き通るような高音とは打って変わり、低音で、どこか投げやりで、気怠げな歌声を披露しています。まるで路地裏でふてくされている少年のような、ザラついた質感。
タイトルにある「鳶(とんび)」や歌詞の内容からは、コソ泥や犯罪者のようなアウトローな視点が感じられます。
「綺麗なだけがヨルシカじゃない」。
そんな彼らの音楽的な引き出しの多さと、表現力の幅広さに圧倒される一曲です。
夜中に少し大きめの音量で聴きたくなる、中毒性の高いナンバーと言えるでしょう。
過去の自分からの引用?生まれ変わった名曲「爆弾魔」
最後にご紹介するのは、古参ファンなら思わずニヤリとしてしまう、けれど初めて聴く人には衝撃的な一曲、「爆弾魔(Re-Recording)」です。
実この曲、アルバム『盗作』の新曲として収録されているのですが、元々は2018年にリリースされたミニアルバム『負け犬にアンコールはいらない』に収録されていた人気曲なのです。
なぜ、わざわざ過去の曲を再レコーディング(録り直し)して、新しいアルバムに入れたのでしょうか?
それはアルバムのコンセプトが「盗作」だから。
「過去の自分の作品から盗む」という、n-bunaさんらしいひねりの効いた演出が隠されているのです。
しかし、ただの使い回しではありません。
初期のバージョンが「衝動的で、若さゆえの荒々しさ」を持っていたのに対し、再録版は「より重厚で、洗練された爆発力」を持っています。
ピアノの旋律は美しくも不穏で、suisさんのボーカルも、ただ叫ぶのではなく、感情を押し殺したような静けさからサビでの爆発まで、表現の幅が格段に進化しています。
歌詞の内容はかなり過激で、「この街を吹き飛ばしてしまいたい」というような破壊衝動が歌われています。
退屈な日常や、上手くいかない人生への鬱屈した気持ちを「爆弾」に例えて歌い上げる様は、聴いていてスカッとするほどのカタルシスがあります。
ストレスが溜まっている時に聴くと、自分の代わりにすべてを吹き飛ばしてくれるような、不思議な爽快感を味わえるはずです。
おわりに:音楽で「読む」物語の楽しさ
今回は、ヨルシカのアルバム曲に焦点を当ててご紹介しました。
『ブレードランナー』のようなSFからの引用、過去作との対比、そして過去の自分すらも作品に取り込んでしまう再レコーディング。
これらはすべて、シングル曲を聴くだけでは見えてこない、ヨルシカの深淵な魅力です。
彼らの音楽は、BGMとして流すだけでも心地よいものですが、歌詞カードを片手に(あるいは文学作品を片手に)じっくりと向き合うことで、その景色は一変します。
それはまるで、難解な小説の伏線が回収された時のような知的興奮を私たちに与えてくれます。
まだアルバムを通して聴いたことがないという方は、ぜひこの機会に、最初から最後まで通して聴いてみてください。
きっと、あなただけの新しい物語が見つかるはずです。
「ヨルシカのあの曲、あんな風に感情を込めて歌ってみたい」
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