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アルバムでしか聴けない曲【米津玄師 編】


「Lemon」や「KICK BACK」、「IRIS OUT」など、街を歩けば彼の曲を耳にしない日はないと言っても過言ではない米津玄師さん。

ドラマの主題歌やCMソングとしてヒットしたシングル曲は、普段あまり音楽を聴かないという方でも口ずさめるほど浸透していますよね。

ですが、あえて言わせてください。
「米津玄師の真髄は、アルバム曲にこそ隠されている」と。

シングル曲は、言わば「名刺」のようなもの。誰が聴いてもキャッチーで、一瞬で心を掴む力強さがあります。一方で、アルバムの中にひっそりと(しかし強烈な存在感で)収録されている曲たちは、彼自身の個人的な趣味嗜好や、実験的な遊び心、あるいは胸の奥底にあるドロドロとした感情が、より色濃く反映されていることが多いのです。

今回は、そんな「隠れた名曲」たちにスポットライトを当ててみたいと思います。
サブスクリプションで単曲買いもできる時代ですが、アルバムという一つの作品を通して聴くからこそ味わえる、奥深い世界へご案内しましょう。

中毒性抜群のロックチューン「爱丽丝(アリス)」

まず最初にご紹介するのは、2017年にリリースされた大ヒットアルバム『BOOTLEG』に収録されている「爱丽丝(アリス)」です。
タイトルが中国語の漢字表記になっているところからして、既にただならぬ雰囲気が漂っていますよね。
楽曲のアレンジを、KingGnuの常田大希さんが手がけたことでも知られています。

この曲を一言で表すなら、「極彩色のサイケデリック・ロック」。
イントロから鳴り響く歪んだギターの音色と、気だるげでありながらも攻撃的な歌い出しは、一度聴いたら耳から離れません。

「不思議の国のアリス」をモチーフにしていることはタイトルの読み方(アリス)からも想像がつきますが、私たちが知っているディズニー映画のようなファンタジーで可愛らしい世界観とは少し違います。もっと混沌としていて、どこか狂気じみていて、でも最高にクール。
歌詞の中には、意味深な言葉遊びや、少し退廃的な飲み会の描写なんかも出てきます。「回る回る」ような酩酊感と疾走感が同居しており、ライブでも非常に盛り上がる一曲としてファンの間では絶大な人気を誇ります。

米津さん自身、友人たちとお酒を飲んで騒いでいる時の空気感をパッケージしたような曲だと語っていたことがありますが、まさにその通り。「優等生な米津玄師」ではなく、「ちょっと悪い米津玄師」を覗き見したい方には特におすすめの一曲です。

 

初期の傑作、切なく美しい物語「海と山椒魚」

時間を少し巻き戻して、2014年のアルバム『YANKEE』から一曲。「海と山椒魚」をご紹介します。
この曲は、米津玄師さんが「ハチ」名義でボーカロイドプロデューサーとして活動していた頃の作風と、シンガーソングライターとしての表現が見事に融合した、初期の名曲です。

タイトルにある「山椒魚(さんしょううお)」は、井伏鱒二の小説から来ているのでしょうか。この曲もまた、一つの短編小説を読んでいるかのような、不思議で少し切ない物語性を持っています。

曲調はアップテンポで軽快なリズムなのですが、歌詞の世界観は「祈り」に近いような、どうしようもない喪失感を含んでいるように感じられます。愛する人への想いなのか、あるいはもう会えない誰かへの手紙なのか。
「海」というキーワードが出てくる通り、キラキラとした水面の輝きと、その下にある深く暗い静寂の両方を感じさせるサウンドメイクが秀逸です。

特にサビのメロディの美しさは特筆すべきものがあります。言葉がメロディに乗って流れるように入ってくるので、音楽理論などに詳しくなくても、ただ聴いているだけで胸がギュッと締め付けられるような感覚に陥るはずです。
派手な演出はないけれど、心の柔らかい部分にそっと触れてくる、そんな隠れた宝石のような一曲です。

 

大人の夏休みはここにある「パプリカ(セルフカバー)」

「パプリカ」と言えば、子供たちユニット『Foorin』が歌い、日本中の子供たちが踊った、あの元気いっぱいの応援ソングですよね。
「あれ? それなら知ってるよ、シングルじゃないの?」と思った方。
今回おすすめしたいのは、アルバム『STRAY SHEEP』に収録されている「米津玄師バージョン(セルフカバー)」なのです。

これがもう、Foorinバージョンとは全くの別物と言っていいほど、雰囲気がガラリと変わります。

Foorin版が「真夏の太陽の下、ひまわり畑で子供たちが元気に走り回っている」イメージだとすれば、米津玄師版は「夏休みの終わり、夕暮れ時の縁側で、遠くから聞こえるお祭りの音を聴きながら昔を懐かしんでいる」ようなイメージ。
アレンジ(編曲)が変わるだけで、同じメロディ、同じ歌詞が、こうも違って聞こえるのかと驚かされます。

日本の伝統的な楽器の音色が取り入れられていたり、どこか民謡のような節回しが強調されていたりと、全体的にノスタルジックで落ち着いたトーン(和風でチルアウトな雰囲気)に仕上がっています。
大人が聴くと、子供の頃の記憶が走馬灯のように蘇ってきて、不意に涙腺が緩んでしまう……なんてことも。
「子供向けの曲でしょ?」と敬遠せずに、ぜひヘッドホンをして、一人静かにこのセルフカバー版を聴いてみてください。日本の夏の美しさと儚さが凝縮されています。

 

あのバンドへの愛とリスペクト「Nighthawks」

最後にご紹介するのは、再びアルバム『BOOTLEG』から「Nighthawks」です。
この曲は、ファンの間では「涙なしには聴けない」と言われるほど、特別な意味を持つ一曲として知られています。

タイトルの「Nighthawks」は、エドワード・ホッパーという画家が描いた有名な絵画(深夜のダイナーに座る人々を描いた作品)から来ていますが、この曲の核にあるのは、米津さんが少年時代から敬愛してやまないロックバンド『BUMP OF CHICKEN』へのオマージュです。

音楽に詳しくない方でも、この曲を聴くと「あれ? どこか懐かしい感じがする」と思うかもしれません。
ギターの音作り、ドラムの疾走感、そして間奏で入る「ラララ」というコーラス。
それらはすべて、彼が青春時代に聴いて救われてきた音楽への、彼なりの最大限のリスペクトと愛の告白のように響きます。

もちろん、単なる真似事ではありません。憧れの背中を追いかけ、やがて自分も誰かの背中を押す存在になった米津玄師というアーティストが、「過去の自分」と「憧れのヒーロー」に向けて歌っている。
そう考えると、歌詞の一行一行が非常にエモーショナルに響いてきます。

 

おわりに:アルバムという「物語」を楽しもう

いかがでしたでしょうか。
今回は米津玄師さんのアルバム曲の中から、特に個性が光る4曲をご紹介しました。

ヒットチャートを賑わすシングル曲は、いわば映画の「予告編」のようなもの。予告編だけでも十分に面白いですが、本編(アルバム)を通してみることで初めて分かる伏線や、登場人物の深い感情があるのと同じです。
特に米津さんのアルバムは、曲順や曲間の「無音」の時間にまでこだわって作られていると言われています。

「爱丽丝」で酔いしれ、「海と山椒魚」で切なさに浸り、「パプリカ」で故郷を想い、「Nighthawks」で明日への活力をもらう。
そんな風に、音楽を通じて様々な感情の旅に出かけてみてはいかがでしょうか。
この記事が、あなたにとって新しいお気に入りの一曲と出会うきっかけになれば幸いです。


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