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2025.12.13

コラム

感動する歌を聴くと「鳥肌」が立つのはなぜ?


大好きなアーティストのバラードを聴いている時や、映画のクライマックスで壮大な音楽が流れた瞬間、背筋がゾクゾクっとして、腕に鳥肌が立った経験はありませんか?
部屋は寒くないはずなのに、体が震えるようなあの感覚。

「今の曲、ヤバかったね! 鳥肌立った!」
なんて会話を友達とすることもあるでしょう。

実はこの現象、単なる「気分の高揚」ではなく、脳科学的に解明されている非常に興味深い反応なのです。
専門用語では、この音楽による悪寒(おかん)や身震いのことをフランス語で「Frisson(フリソン)」と呼びます。

なぜ、空気の振動にすぎない「音楽」が、私たちの体に物理的な変化を引き起こすのか。
そこには、脳の「予測機能」と、快楽物質「ドーパミン」による巧みな魔法が隠されていました。
今回は、音楽の「エモさ」の正体を科学的な視点から紐解いていきましょう。

そのゾクゾクには名前がある。「フリソン(Frisson)」とは?

まず、あのゾクゾクする感覚の正体についてです。
フリソン(Frisson)」とは、フランス語で「身震い」や「戦慄」を意味する言葉です。海外の研究では「Aesthetic Chills(美的悪寒)」と呼ばれることもあります。

面白いことに、このフリソンは誰にでも起きるわけではありません。
研究によると、人口の約50%〜80%の人しかこの感覚を経験しないと言われています。もしあなたが音楽を聴いて鳥肌が立ったことがあるなら、あなたは感受性が豊かで、脳の神経線維が音に対して敏感に反応するタイプだと言えるでしょう。

本来、鳥肌(立毛筋の収縮)は、寒さから身を守るため、あるいは敵に遭遇した時に体を大きく見せるための「防御反応」でした。猫が威嚇する時に毛を逆立てるのと同じです。
しかし人間は進化の過程で、音楽という「芸術」に触れた時の感動に対しても、この原始的な反応を利用するようになったのです。

脳は音楽を聴きながら、常に「未来」を予知している

では、なぜ脳は感動すると鳥肌を立てるのでしょうか。
鍵を握るのは、脳内の「報酬系」と呼ばれるシステムです。
これは、美味しいものを食べた時や、恋愛をしている時、あるいはギャンブルで勝った時に活性化し、「ドーパミン」という快楽物質を放出する回路です。

音楽を聴いている時、私たちの脳(特に聴覚野と前頭前皮質)は、ただ音を受け身で聞いているわけではありません。
過去に聴いた膨大な音楽データを元に、「次はこういうメロディが来るだろう」「次はこういうリズムになるはずだ」と、瞬時に未来を予測し続けているのです。

「ドレミファソラシ…」と来たら、次は「ド」が来るはずだ、と思いますよね。
この「予測」こそが、感動の種火になります。

「期待」と「裏切り」がドーパミンを爆発させる

ここからが最も面白い部分です。
マギル大学の神経科学者ヴァロリー・サリンプール氏らの研究によると、ドーパミンが出るタイミングには2つの段階があることがわかっています。

1. 期待のフェーズ(焦らし)
曲がサビに向かって盛り上がっていく時、「来るぞ、来るぞ…!」と脳は期待します。この時、脳の「尾状核(びじょうかく)」という部分でドーパミンが分泌され始めます。

2. 解放のフェーズ(鳥肌の瞬間)
そして、期待していたサビがドーンと来た瞬間、あるいは「期待を良い意味で裏切る」ような転調やブレイク(静寂)が入った瞬間、脳の「側坐核(そくざかく)」という部分でドーパミンが爆発的に放出されます。

脳は「予測通り」すぎると退屈します。逆に「予測不能」すぎると不快に感じます。
一番気持ちいいのは、「予測をさせておいて、それを少しだけ遅らせたり、予想以上の展開で解決したりした時」なのです。

例えば、サビの直前で一瞬音が消える。
来るはずの音が半音ズレて、切ない響きになる。
ずっと我慢していた高音が、最後でやっと突き抜ける。

こうした「緊張と緩和」のジェットコースターによって脳が揺さぶられた時、脳は「最高のご褒美だ!」と判断し、大量のドーパミンを放出。その刺激が自律神経に伝わり、結果として「鳥肌」という身体反応が出るのです。
つまり、鳥肌は脳が喜びで震えているサインとも言えます。

鳥肌が立ちやすい曲には「共通点」がある

科学的なメカニズムがわかると、世の中の名曲たちがなぜ心に響くのかが見えてきます。
鳥肌が立ちやすい楽曲には、いくつかの構造的な特徴があると言われています。

* 急激な音量変化(クレッシェンド):静かな状態から一気に音が大きくなる。
* 新しい楽器の登場:ソロパートなどで、これまで鳴っていなかった楽器や声が加わる。
* 予期せぬ転調:曲の雰囲気がガラッと変わる。
* 人間の「叫び」に近い高音:ボーカルの必死な高音や、かすれた声(ウィスパーボイス)。

特にボーカルにおいては、ただ上手いだけでなく、「揺らぎ」や「切なさ」を含んだ声がフリソンを誘発しやすいとされています。
AIのように正確無比なピッチよりも、感情が昂ぶって少し上ずるような声や、息が混じった声の方が、脳の「予測」を心地よく裏切り、強い情動を呼び起こすからです。
聴く人の脳をハッキングし、ドーパミンを出させるテクニック。プロの歌手たちは、意識的か無意識的か、この魔法を使っているのです。

まとめ:感動は偶然ではなく、作ることができる

音楽を聴いて鳥肌が立つ現象「フリソン」。
それは、私たちの脳が音楽の展開を予測し、その期待と解決のプロセスで快楽物質ドーパミンを放出することで起きる、神秘的かつ科学的な現象でした。

「この曲、なんかエモい」
そう感じる時、あなたの脳内では高度な計算と、原始的な喜びの反応が同時に起きているのです。

そして、この「感動のメカニズム」は、歌う側にとっても非常に重要なヒントになります。
ただ楽譜通りに歌うのではなく、どこで緊張を作り、どこで解放するか。
どこで声を張り、どこで息を抜くか。
それを計算してコントロールできるようになれば、あなたの歌声は聴く人の脳に直接届き、鳥肌を立たせることができるようになるはずです。

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