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歌が上手い人は『モノマネ』から入る?


「憧れのアーティストみたいに歌えるようになりたい!」
歌を練習し始めるきっかけの多くは、そんな純粋な憧れからスタートするものです。

でも、練習を続けていくうちに、こんな不安が頭をよぎったことはありませんか?

「なんか、あの歌手の真似事みたいになっちゃってるかも…」
「誰かのコピーばかりしていたら、自分の個性がなくなってしまうんじゃないか?」
「カラオケで『○○に似てるね』って言われるのは嬉しいけど、それって自分の歌じゃない気がする…」

真面目な人ほど、「自分らしさ」や「オリジナリティ」という言葉に縛られて、誰かの真似をすることにブレーキをかけてしまいがちです。

しかし、はっきりと言わせていただきます。
歌が上手くなりたければ、まずは徹底的にパクってください。

実は、プロとして活躍しているスーパーボーカリストたちも、最初は誰かの熱狂的なファンであり、誰かのモノマネからスタートしているのです。
今回は、なぜ「モノマネ」が最強の練習法なのか、そしてどうすれば「単なるコピー」を超えて「あなたの歌」に昇華できるのか、その秘密を解き明かしていきます。

 

 

「学ぶ」の語源は「真似ぶ」。コピーは恥ずかしいことじゃない!

そもそも、人間が新しいスキルを習得するときのプロセスを思い出してみてください。
私たちは赤ちゃんの頃、お母さんやお父さんの言葉を必死に真似することで、日本語を話せるようになりました。
料理だって、最初はレシピ本の通りに作ったり、上手な人の手つきを真似たりすることから始めますよね。

歌もこれと全く同じです。
日本の古語で「学ぶ」の語源が「真似ぶ(まねぶ)」であると言われているように、模倣こそが学習の基本であり、最短ルートなのです。

自分の「引き出し」を増やす作業

何も持っていない状態で「自分らしく歌え!」と言われても、それは無理な話です。
それはまるで、何のレシピも知らないのに「創作料理を作れ」と言われているようなもの。

好きな歌手を真似るという行為は、自分の中に「技術の食材(引き出し)」を仕入れる作業です。
「Aさんのような力強い高音」
「Bさんのような切ない息遣い」
「Cさんのようなグルーヴ感(ノリ)」

これらを一つずつ真似して自分の中にストックしていくことで、初めて「この曲の、このフレーズは、Aさんのあの技術を使ってみようかな」という応用ができるようになります。
つまり、手持ちのカードが多ければ多いほど、表現の幅は広がるのです。

 

注意!やってはいけない「危険なモノマネ」と「良いモノマネ」

「じゃあ、ひたすら似せて歌えばいいんですね?」
というと、実はここに大きな落とし穴があります。

モノマネには、「上達につながる良いモノマネ」と、「喉を壊すだけの悪いモノマネ」があるのです。
ここを履き違えてしまうと、変な癖がついたり、最悪の場合ポリープなどのトラブルを招いたりしかねません。

× 悪いモノマネ:「声色(こわいろ)」だけを似せる

一番やりがちなのがこれです。
例えば、ハスキーな声の歌手に憧れて、わざと喉を締め付けてガサガサした声を出そうとしたり、太い声の歌手を真似て無理やり喉の奥を広げ続けたりすること。

これは、あくまでその歌手が生まれ持った骨格や声帯から出る「結果としての声」を、表面だけなぞろうとしている状態です。
自分の楽器(身体)の構造を無視して、無理な使い方をしているため、喉への負担が半端ではありません。
「志村けんさんのモノマネ」や「某アニメキャラのモノマネ」のように、一発芸としてやるならまだしも、一曲通して歌う技術としては不適切です。

○ 良いモノマネ:「歌い回し」と「ニュアンス」を似せる

私たちが目指すべきはこちらです。
声質そのものを変えるのではなく、その歌手がどうやって歌を表現しているか、という「テクニック」の部分を盗むのです。

  • リズムの取り方(少し遅らせて歌っているか、食い気味か)
  • 息継ぎのタイミング
  • 言葉の切り方(スタッカートのように切るか、粘っこく伸ばすか)
  • 強弱の付け方

これらは、喉の負担にならず、かつ誰でも習得可能な「技術」です。
声が似ていなくても、「なんかこの人、歌い方が○○っぽい!」と言われたら、それはあなたがその技術を正しく吸収できた証拠です。

 

プロの技術を盗め!効果的な「完コピ」のための4つのステップ

では、具体的にどうやって技術を盗めばいいのでしょうか。
漫然と曲を聞き流しているだけでは、細かいニュアンスまでは分かりません。
ここでは、プロも実践している「耳コピ」の極意を4つのステップでご紹介します。

Step 1. 歌詞カードに「記号」を書き込む

まずは、音源をよく聴きながら、歌詞カード(あるいはプリントアウトした歌詞)に、歌手が何をしているかメモを書き込んでいきます。

  • 息を吸った場所に「V」マーク
  • 音が上がったところ、下がったところ
  • 声を震わせた(ビブラート)箇所
  • ささやくように歌った箇所

こうして可視化することで、「なんとなく」聴いていた曲の解像度が一気に上がります。
「えっ、ここでは息継ぎしてないんだ!」といった発見があるはずです。

Step 2. 「ブレス(息継ぎ)」の位置を完全再現する

歌のリズムを生み出しているのは、実は「呼吸」です。
憧れの歌手と全く同じタイミング、全く同じ深さで息を吸うことができれば、歌のグルーヴ感(ノリ)は驚くほど似てきます。
歌い出しの直前に「スッ」と鋭く吸っているのか、「ハァ〜」とゆったり吸っているのか。そこまで耳を澄ませて真似してみてください。

Step 3. 「語尾」の処理に注目する

歌の上手さは「語尾」に宿ると言われます。
フレーズの終わりを、丁寧にビブラートで伸ばしているのか、それともプツッと切って投げ捨てているのか、あるいは吐息混じりに消えていくのか。

語尾の処理一つで、歌の表情は「悲しさ」「怒り」「優しさ」など劇的に変化します。
ここを丁寧にコピーするだけで、あなたの歌は一気にプロっぽくなります。

Step 4. 「母音」の形を真似てみる

少し上級テクニックですが、歌手が口をどう開けているかを想像してみましょう。
例えば「愛(あ)」と歌うときに、縦に大きく口を開けた「ア」なのか、横に引いた笑顔のような「ア」なのか。
口の形(母音の響き)を真似ると、無理に喉で作らなくても、声のトーンが自然とその歌手に近づいていきます。

 

「パクリ」が「オリジナル」に変わる瞬間

ここまで読んで、「でも、結局それは他人の真似事でしょ?」と思うかもしれません。
しかし、安心してください。
あなたがどれだけ完璧に誰かを真似ようとしても、あなたの骨格、声帯、育ってきた環境、感性は、その歌手とは絶対に違います。
つまり、「100%完全なコピー」は物理的に不可能なのです。

そして、その「コピーしきれなかったズレ」こそが、あなたの「個性」の種になります。

「守破離(しゅはり)」の精神で

日本の芸道には「守破離」という言葉があります。

  • 守(しゅ): 師匠や手本を忠実に守り、真似る段階。
  • 破(は): 基本を身につけた上で、それを少し崩したり、他の要素を取り入れたりする段階。
  • 離(り): 独自のスタイルを確立し、離れていく段階。

最初はAさんという歌手の「守」から入ります。
次に、Bさんのリズム感や、Cさんの表現力を混ぜてみます(破)。
色々な人の「良いところ」を自分の中でミックスジュースのように混ぜ合わせて、最終的にあなたの声というフィルターを通したとき、それはもう誰のモノマネでもない、世界に一つだけの「あなたの歌(離)」になっているはずです。

だから、個性がなくなることを恐れず、最初は貪欲に真似てください。
「真似」の積み重ねの先にしか、「オリジナル」は生まれないのです。

 

まとめ:憧れを燃料にして、技術を自分のものにしよう

「モノマネ」は、決して恥ずかしいことではありません。
それは、先人たちが築き上げてきた素晴らしい技術へのリスペクトであり、それを自分の血肉にするための最強のトレーニングです。

もし誰かに「○○に似てるね」と言われたら、心の中でガッツポーズをしましょう。
「よし、あの技術は習得できた。次は誰のテクニックを盗んでやろうか」と。

独学で練習していると、自分の癖に気づきにくかったり、変な方向に真似をして喉を痛めてしまったりすることもあります。
「正しく真似できているかな?」「この歌手のこの発声はどうやっているの?」と疑問に思ったら、専門家に答え合わせをしてもらうのも一つの手です。

あなたの声は、世界に一つだけの楽器です。
たくさんの「師匠」たちの技術を取り込んで、あなただけの最高の音色を響かせてくださいね。

 


 

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