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地図で辿るJ-POP! 『地名』が入っている名曲めぐり

ふと、何気なく聞いていた音楽の歌詞に、知っている「地名」が出てきてハッとしたことはありませんか?
音楽というのは不思議なもので、たった数分のメロディの中に、その場所の空気感や匂い、湿度までもを閉じ込めてしまうタイムカプセルのような力があります。実際にその場所に行ったことがなくても、曲を聞くだけで「ああ、きっとこういう景色なんだろうな」と想像が膨らんだり、逆に馴染みのある街が歌われていれば、自分だけの思い出とリンクして急にセンチメンタルな気分になったり。
今回は、そんな「地図で辿りたくなるJ-POP」をテーマに、具体的な地名が登場する名曲たちをピックアップしてみました。音楽そのものの素晴らしさはもちろん、その背景にある土地のストーリーにも少し寄り道をしながら、北から南まで、音楽の旅に出かけてみましょう。
目次:音楽で巡る日本の名所
【栃木・足利】夕陽が繋ぐ思い出 森高千里『渡良瀬橋』
まず最初にご紹介するのは、ご当地ソングの金字塔とも言える森高千里さんの名曲『渡良瀬橋』です。
1993年にリリースされたこの曲は、栃木県足利市に実在する「渡良瀬橋(わたらせばし)」を舞台にしています。
この曲のすごいところは、歌詞に出てくる情報の具体性が徹底している点です。タイトルになっている橋の名前はもちろんのこと、歌詞の中には「八雲神社(やくもじんじゃ)」へお参りする描写や、「床屋の角(かど)にポツンとある公衆電話」といった、極めてピンポイントな情景が登場します。
なんとなくイメージで作った架空の街ではなく、実際にその街に住み、生活していた人の視点で描かれているからこそ、聴く人は「ああ、この主人公は本当にここで暮らしていたんだな」と強く感情移入してしまうのです。

渡良瀬川
特に印象的なのは、渡良瀬川の河原から夕日を見るシーン。広い空と、沈んでいく夕陽、そして電車。静かな田舎町の風景の中で、別れた相手のことを想う切なさが、リコーダーの間奏とともに胸に染み渡ります。
ちなみに、この曲の影響力はすさまじく、実際の渡良瀬橋の近くには歌碑が建てられ、夕暮れ時には時報としてこの曲のメロディが街に流れるようになりました。さらに歌詞に登場する「床屋」や「公衆電話」もファンの間では聖地となっており、音楽が現実の街の景色を変えてしまった稀有な例と言えるでしょう。
もし足利市を訪れる機会があれば、ぜひ夕暮れ時を狙って橋の上に立ってみてください。きっと歌詞通りの「北風」と美しい夕日があなたを迎えてくれるはずです。
【東京・丸の内】都会的な喧騒とアンニュイ 椎名林檎『丸の内サディスティック』
一気に南下して、日本の中心、東京へ。東京を舞台にした曲は星の数ほどありますが、特定のエリアをこれほどお洒落に、かつ少し退廃的に描いた曲は椎名林檎さんの『丸の内サディスティック』をおいて他にないでしょう。
タイトルの「丸の内」は、東京駅とその周辺に広がる日本屈指のビジネス街です。高層ビルが立ち並び、スーツを着たビジネスマンが行き交う、ある意味で非常に「堅い」イメージのある街。しかし、この楽曲の中での丸の内は、少し違った表情を見せます。
歌詞の中には「東京駅」や「御茶ノ水」、さらには「銀座」といった具体的な地名が登場しますが、それらは観光ガイドのようなキラキラしたものではなく、主人公の生活圏としての生々しい東京です。「リッケンバッカー」や「ラット」といった音楽機材の用語と、「将来僧になって結婚して欲しい」という独特な願望が、丸の内という整然とした街のイメージと混ざり合い、奇妙なリアリティを生み出しています。
特に面白いのが、丸の内線の描写です。地下鉄のホームの匂いや、終電間際の少し疲れた空気感。地方から東京に出てきて、都会の波に揉まれながらも、自分のスタイルを貫こうとする若者の姿が浮かび上がってくるようです。ピアノのリフが印象的なジャジーなサウンドは、夜の東京のドライブにもぴったりですよね。
【神奈川・桜木町】変わりゆく街と変わらない想い ゆず『桜木町』
東京のお隣、神奈川県横浜市。横浜もまた、「ブルー・ライト・ヨコハマ」をはじめとして数多くの楽曲の舞台となってきました。その中でも、フォークデュオ・ゆずの『桜木町』は、特定の場所と「時代の変化」を切なく切り取った名曲です。
この曲がリリースされた2004年は、横浜の鉄道事情にとって大きな節目の年でした。かつて東急東横線の終点は「桜木町駅」でしたが、みなとみらい線の開通に伴い、東横線の横浜〜桜木町間が廃止されたのです。この楽曲は、そんな「失われていく景色」と「終わってしまった恋」を重ね合わせて描かれています。
歌詞に出てくる「大きな観覧車」は、みなとみらいのシンボルであるコスモクロック21のことでしょう。花火があがる海辺の景色や、駅の改札での待ち合わせ。横浜でデートをしたことがある人なら、「ああ、あの場所か」とすぐに映像が浮かぶはずです。
個人的にグッとくるのは、単に場所の名前を出しているだけでなく、その場所が持っている「時間」を歌っている点です。電車が来なくなってしまった線路、もう二度と戻らないあの日々。街は開発によってどんどん綺麗に、便利になっていきますが、その影で消えていくものもある。そんなセンチメンタルな感情を、ゆず特有の爽やかで少し切ないメロディが包み込んでくれます。
今の桜木町駅周辺は、ロープウェイができたり商業施設が増えたりと、当時とはまた違った賑わいを見せています。でも、この曲を聴きながら歩く旧東横線の遊歩道(汽車道など)は、また格別の風情があるものです。
【大阪・御堂筋】遠距離恋愛のリアル DREAMS COME TRUE『大阪LOVER』
最後は西の都、大阪へ。大阪をテーマにした曲といえば、コテコテの演歌やムード歌謡をイメージするかもしれませんが、現代のポップスで最強の「ご当地ソング」といえば、やはりDREAMS COME TRUEの『大阪LOVER』でしょう。
この曲の凄さは、単に「大阪が好き!」と歌うのではなく、東京と大阪という「距離」に翻弄される女性の心情を、恐ろしいほどの解像度で描いている点にあります。
歌詞に登場する「御堂筋」は、大阪のメインストリート。ここを車で走りながらの会話劇が歌の主軸になっています。大阪弁を話す彼氏に馴染もうと頑張る主人公の健気さがとにかく可愛いのですが、同時に「なんで自分ばっかり東京から通ってるんだろう」という不満や、「最終の新幹線」の時間に追われる切なさもリアルに描かれています。
「新大阪駅」という具体的な場所も、遠距離恋愛をしている人にとっては特別な意味を持つ場所です。到着した時の高揚感と、帰る時の寂寥感。あのアナウンス、あの雑踏。すべてがドラマの舞台セットのように機能しています。
また、歌詞の中には「万博公園の太陽の塔」といったランドマークも登場し、デートコースが目に浮かぶようです。
吉田美和さんの圧倒的なボーカル力で歌われる大阪弁は、ネイティブから見れば少し違うのかもしれませんが、それが逆に「大阪の彼に染まりたい東京の女の子」というリアリティを増幅させています。USJのアトラクション(ドリーム・ザ・ライド)でもおなじみのこの曲、聴くだけで元気になれると同時に、恋する人の複雑な心境に胸がキュッとなる傑作です。
音楽という「場所」へ出かける楽しみ
栃木から大阪まで、4つのエリアと名曲をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
こうして振り返ってみると、地名が入っている曲というのは、単なる場所の説明ではなく、その土地で過ごした時間や、そこにいた誰かとの記憶をパッケージしたものであることに気づかされます。
アーティストが見ていた景色と、私たちがその曲を聴いて思い浮かべる景色。それが重なった瞬間、何でもない日常の風景が、映画のワンシーンのように輝き出すのかもしれません。
今回ご紹介した曲以外にも、「桑名正博『月のあかり』(大阪)」や「ケツメイシ『東京』」、「森山直太朗『さくら(独唱)』」(特定の場所ではないですが、日本の春の原風景)など、土地の空気を感じられる曲はたくさんあります。
今度の休日は、お気に入りのプレイリストを持って、歌詞に出てくるあの場所へ「聖地巡礼」の散歩に出かけてみるのも良いかもしれませんね。きっと、イヤホンから流れる音楽が、最高のBGMになってくれるはずです。
あなたの声で、思い出の景色を歌ってみませんか?
「この曲、好きなんだよなぁ」「カラオケで上手く歌えるようになりたいな」
そんな風に思ったら、ぜひ一度、自分の「声」と向き合ってみませんか?
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