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昭和・平成・令和『ラブソングの歌詞』はどう変わった?

こんにちは。オーラボイスボーカルスクールです。
音楽は、その時代を映す鏡だなんてよく言われますよね。特に「ラブソング」は、その時々の恋愛観や、男女の距離感、そして何より私たちを取り巻くコミュニケーションツールの変化が色濃く反映されています。
「昔の曲は情熱的だったなあ」とか「最近の曲はなんだか複雑で繊細だな」なんて感じることはないでしょうか。今回は、昭和、平成、そして令和へと移り変わる中で、ラブソングの歌詞がどのように変化してきたのか、ちょっとしたタイムトラベル気分で紐解いてみたいと思います。
音楽理論のような難しい話は抜きにして、歌詞の向こう側に見える「時代ごとの恋愛観」を一緒に覗いてみましょう。
【目次】
昭和のラブソング:「待つ女」と「すれ違い」の美学

まずは昭和の時代から振り返ってみましょう。昭和歌謡やフォークソングを聴いていて感じるのは、圧倒的な「すれ違い」のドラマです。
今のようにスマートフォンなんてありません。家の固定電話ですら、家族が周りにいて自由に話せない時代です。だからこそ、昭和のラブソングには「会えない時間」や「連絡が取れないもどかしさ」がスパイスとしてたっぷりと効いています。
象徴的な名曲として、太田裕美さんの『木綿のハンカチーフ』(1975年)を思い出してみてください。
この曲の歌詞は、都会へ旅立つ彼と、田舎に残って彼を待つ彼女の往復書簡のような形式で進んでいきます。最初は「帰ってくるのを待っている」という健気な姿勢だった彼女に対し、彼は都会の華やかさに染まり、次第に変わっていく。
最終的に彼は「君に似合うものを送るよ」と言いますが、彼女が欲しがったのは高価な指輪でもドレスでもなく、「涙を拭くための木綿のハンカチーフ」でした。
ここには、昭和特有の「待つ女性」と「夢を追って変わってしまう男性」という構図が鮮明に描かれています。物理的な距離がそのまま心の距離になってしまう残酷さと、それでも相手を想い続ける情念のようなもの。これが昭和ラブソングの真骨頂ではないでしょうか。
「神田川」などもそうですが、貧しさや不便さの中で、二人で寄り添って生きる姿が美化され、歌詞には「耐える」「信じる」「待つ」といった受動的ながらも芯の強い言葉が多く並びました。連絡手段がないからこそ、一度の約束が重い。その重みが、歌詞に深い哀愁とドラマを与えていたのです。
平成のラブソング:「等身大」の共感と「トリセツ」化する恋

時代は平成に移ります。携帯電話(ガラケー)が登場し、やがてスマホへ。いつでもどこでも繋がれるようになったこの時代、ラブソングの歌詞は劇的な変化を遂げました。
昭和のような「ドラマチックな悲恋」よりも、「日常のリアルな風景」や「共感」が求められるようになったのです。
平成中期から後期にかけて、特に大きな支持を集めたのが西野カナさんです。彼女の代表曲『トリセツ』(2015年)は、まさに平成の恋愛観を象徴する記念碑的な作品だと言えます。
この曲の歌詞は、自分自身を「製品」に見立て、その「取扱説明書」を彼氏に読み聞かせるという斬新なスタイル。「急に不機嫌になることがあります」「定期的に褒めてください」といった、非常に具体的で細かいリクエストが並びます。
昭和の歌詞が「あなた色に染まります」という自己犠牲的な愛だったのに対し、平成(特に後期)の歌詞は「ありのままの私を受け入れて」という自己肯定と相互理解を求めるスタイルへと変化しました。
また、カラオケ文化が全盛期を迎えたことも歌詞に影響しています。GReeeeNの『キセキ』やMONGOL800の『小さな恋のうた』のように、仲間と一緒に歌える、ストレートで飾らない言葉が好まれました。「愛してる」という言葉よりも、「君と出会えた奇跡」や「日常の幸せ」を噛みしめるような、等身大(ライフサイズ)の歌詞が多くの人の心を掴んだのです。
「会えない」ことが障害だった昭和から、「既読がつかない」「返信が遅い」という精神的な駆け引きに悩み始めたのも、この時代の特徴ですね。
令和のラブソング:「脱・運命」と複雑化する「僕と君」

そして現在、令和。ラブソングの歌詞はさらに複雑で、ある意味で「達観」したような雰囲気を纏い始めています。
SNSで誰もが繋がれる反面、人間関係の希薄さや、「別れの気配」を最初から予感しているような、どこか儚い歌詞が増えているように感じませんか?
例えば、Official髭男dismの『Pretender』(2019年 ※令和元年)。
この曲が大ヒットした背景には、そのメロディの良さはもちろんですが、「君の運命の人は僕じゃない」と言い切ってしまう歌詞の切実さがあります。
これまでのラブソングなら、「運命を変えてみせる」とか「それでも君が好きだ」と熱く迫るところでしょう。しかし、令和の歌詞は、自分と相手の間に越えられない線があることを冷静に受け入れ、その上で「それでも綺麗だ」と嘆くのです。とても理性的で、かつ痛々しいほど人間臭い。
また、令和の歌詞の特徴として「ジェンダーレス」や「曖昧さ」も挙げられます。
男性が女性目線で歌ったり(優里さんの『ドライフラワー』など)、そもそも性別を特定しない「君と僕」という表現で、聴く人それぞれの状況に当てはめられるような余白のある歌詞が増えています。
「永遠の愛」を高らかに誓うよりも、壊れやすい関係性の中で揺れ動く心情や、綺麗事だけではない「ドロドロした感情」さえもお洒落に、ポップに昇華してしまう。それが令和のラブソングの面白さかもしれません。
時代が変わっても変わらない「歌う楽しさ」
昭和、平成、令和と駆け足で見てきましたが、いかがでしたでしょうか。
- 昭和:不便さゆえに燃え上がる、情熱と忍耐の愛。
- 平成:日常を大切にし、共感を求める等身大の愛。
- 令和:多様性を受け入れ、複雑な心情を繊細に描く愛。
歌詞のトレンドは時代とともに変わりますが、「誰かを想う気持ちを言葉に乗せる」という根本的な部分は、いつの時代も変わりません。だからこそ、私たちは世代を超えて名曲に心を揺さぶられるのでしょう。
もし、この記事を読んで「久しぶりにあの曲を歌いたいな」とか「今の流行りの曲、ちょっと挑戦してみようかな」と思ったなら、それはとても素敵なことです。
歌詞の意味をじっくり噛みしめながら歌ってみると、今まで気づかなかったその曲の深い魅力に気づくかもしれませんよ。
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