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朝からいい声で歌うためには

声帯の目覚め方とウォーミングアップの科学


なぜ朝は声が出にくいのか?

声帯のイラスト

「朝イチで歌ったら、声がガラガラだった」「高音が出ない」――
そんな経験、ありませんか?
原因は単純で、声帯がまだ“眠っている”からです。

人間の声帯は、2枚の薄い筋肉のヒダ(声帯ヒダ)で構成されており、
呼吸や発声のたびに微妙に開閉しています。
しかし、睡眠中は呼吸が浅く、体温も低下しているため、
声帯も乾燥・硬直状態になります。いわば「寝ぐせがついた声帯」なのです。

さらに、寝ている間に鼻や喉の粘膜がむくむため、
空気の通り道が狭くなります。朝、声が“こもる”のはこのせいです。
また、低体温状態では筋肉の柔軟性が落ち、声帯を細かくコントロールしにくくなります。
つまり、朝は「発声に必要な条件」がことごとく整っていない時間帯なのです。

専門的に言うと、声帯は温度と水分に敏感な器官で、
体温が1℃上がるだけでも音質やピッチの安定性が向上するとされています(※日本音声学会資料より)。
つまり、“声帯を起こす”には、筋肉と呼吸のスイッチをゆっくり入れることが大切なのです。

でも朝に歌う仕事は存在する

とはいえ、現実には「朝から歌わなければならない」シーンもあります。
テレビの生放送、ラジオの収録、学校の合唱コンクール、早朝の結婚式余興…。
プロのシンガーに至っては、午前中にレコーディングなんてことも珍しくありません。

実際、多くのプロ歌手は「朝イチの声のクセ」を熟知しています。
たとえばMISIAは本番前に1時間かけて発声を行い、
宇多田ヒカルは“水分摂取→軽いストレッチ→リップロール”というルーティンを徹底していると言われます。
つまり、朝だから出ないではなく、朝用の準備が必要ということです。

では、その準備とは具体的にどんなものなのでしょうか?
ここからは、声帯を“無理なく起こす”ためのウォーミングアップ法を紹介します。

朝のウォーミングアップの基本ステップ

朝にいきなり発声練習を始めるのはNGです。
まずは体と呼吸を整え、「声が出せる状態」にしていくのが正解です。

① まずは“体”を起こす

軽くストレッチをしましょう。肩回しや深呼吸だけでもOK。
首・肩・背中の筋肉を動かすことで、呼吸が深くなり、
声を支える土台(体幹)が整います。
寝起きの「背中のこわばり」が、発声の邪魔をしていることは意外と多いのです。

② 温かい飲み物で喉を潤す

朝のコーヒーもいいですが、カフェインは喉を乾燥させます。
おすすめは「白湯」または「ハチミツ入りのぬるま湯」。
体を内側から温めることで、声帯の血流がよくなり、動きがスムーズになります。

③ 息だけで「フー」「スー」

発声前に、まずは息だけを吐きます。
「フー」や「スー」と息を長く一定に出すことで、呼気のコントロールが安定します。
これは、声を出す前の“呼吸リハーサル”です。
焦らず30秒ほど行うだけで、喉の余計な緊張がほぐれます。

④ リップロール&ハミング

いよいよ声を出していきましょう。
「ブルルル…」と唇を震わせるリップロールは、
息の流れと声帯の振動を自然に一致させる効果があります。
その後、「んー」や「むー」と軽くハミングして、声帯をやわらかく振動させましょう。
まだ喉が完全に起きていない時間帯なので、“軽く”“低め”を意識します。

⑤ スケール練習は「下から上へ」

音階練習をする場合は、低音域からゆっくり上げていきましょう。
いきなり高音を出すのは声帯にとって過負荷です。
半音ずつ上げていくと、筋肉が自然にほぐれていきます。
朝のウォームアップは15〜20分かけるのが理想です。

朝の声を整えるための生活習慣

朝の取り組みだけでどうにかなる話ではありません。
朝に良い声を出すには、前日の夜から勝負が始まっています。

  • 寝る前3時間は食べない:胃が動いていると喉に逆流し、翌朝の声がこもります。
  • 部屋の湿度を50〜60%に保つ:乾燥は声帯の敵。加湿器がベスト。
  • 寝る前に少量の水を飲む:体内の水分バランスを保ち、声帯の乾燥を防ぎます。
  • 朝起きたら口呼吸より鼻呼吸:口呼吸は喉を乾かします。

また、朝に強い声を出せる人は、例外なく“呼吸が深い”です。
日常的に腹式呼吸の習慣をつけておくと、
朝でも呼吸の安定が早く、声の立ち上がりもスムーズになります。

ちなみに、声楽家やミュージカル俳優は、朝に必ず“軽い運動”を取り入れています。
ランニングではなく、ストレッチやヨガのような「静的運動」。
体をほぐすことで声帯への血流が改善し、呼吸の支えが強くなるからです。

どうしても声が出ないときの“最終手段”

どれだけ準備しても、朝はコンディションに波があります。
そんなときは焦らず、「出ない声をどう使うか」にシフトしましょう。

低音で歌い出す:高音を後半に取っておくと、喉が温まってきます。
マイクとの距離を工夫する:少し近づけるだけで、ボリュームを補えます。
エアー多めの声(息まじり)で歌う:柔らかい印象になり、朝の声でも心地よい響きに。
水分をこまめにとる:10分おきに少量ずつ飲むのが効果的。

また、録音現場では「1テイク目はチェック用」と割り切るのも重要です。
“声が出ない”という自己否定のループに入るより、
「これが今朝の自分の声」と受け入れる方が、結果的に良いパフォーマンスを生みます。

まとめ:朝の声も“味方”にするボーカリストへ

朝の声は“悪者”ではありません。
むしろ、深みやあたたかみがあり、夜とは違う魅力を持っています。
プロの歌手たちも、朝の声を「別の楽器」として使い分けています。

重要なのは、「朝でも歌える声の準備」を自分のルーティンにすること。
体・喉・心の3つを起こす意識を持つだけで、朝のパフォーマンスは劇的に変わります。
あなたの声は、朝も夜も唯一無二。
ぜひ“朝の自分の声”とも、仲良くなってください。


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