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2025.11.08
コラム“歌うとストレス解消”は本当?医学的に見た歌の効能
楽しく歌ってストレス解消しよう!

歌うと気分がスッキリするのはなぜ?
お風呂やカラオケで思いきり歌ったあと、なんだか気分が軽くなったことはありませんか?
この「スッキリ感」は、気のせいではありません。最近の研究では、歌うことがストレスの軽減、呼吸の改善、免疫力アップなどに役立つ可能性があると報告されています。
今回は、なるべく専門用語を使わずに、医学的な視点から歌うことの効果をわかりやすく紹介します。
ホルモンとストレス:コルチゾールとの関係
ストレスがかかると、体の中でコルチゾールというホルモンが増えます。長いあいだ増えたままだと、疲れやすくなったり、免疫力が落ちたりすることもあります。
歌うことがこのホルモンにどう影響するかを調べた研究では、リラックスした環境で歌ったときにはコルチゾールが下がることがあると分かっています。一方で、コンサート本番のように緊張する場面では、逆に上がることもあります。つまり、歌うことは状況によってストレス反応が変わるということです。
また、合唱を使った研究では、歌ったあとに免疫に関係する成分が増えることがわかっています。ストレスホルモンの変化は、歌うときの気分や場の雰囲気が関係していると考えられています。
呼吸が深くなると心も落ち着く
歌うときは、自然と深くゆっくりした呼吸になります。これは、腹式呼吸や瞑想で行われる呼吸と似ていて、自律神経(体のバランスを整える神経)を落ち着かせる効果があります。
研究でも、歌っているときの呼吸パターンが心拍数やリラックス状態に影響していることが確認されています。
歌は、特別な練習をしなくても心を落ち着かせる呼吸法になっているんですね。
免疫力にも関係がある?
歌うことで、体の防御力にも変化が見られることがあります。合唱や音楽活動のあとに唾液の中のIgAという免疫成分が増えたという研究があります。
これは短い時間の変化ではありますが、体の免疫反応が一時的に高まっていると考えられます。
また、大きな声を出すことで肺がしっかり動き、血のめぐりが良くなることもわかっています。軽い運動をしたときと似たような効果です。
みんなで歌うとさらに効果的

歌はひとりで歌うのもいいですが、みんなで歌うとさらに効果が高まることがあります。合唱やカラオケでは、初対面の人同士でも短時間で打ち解けやすくなり、ストレスや孤独感が減ったという研究があります。
さらに、歌っているときにはエンドルフィンという「幸福ホルモン」の分泌も増えると考えられており、気分が上がる理由のひとつになっています。
日常での取り入れ方
- リラックスした場所で歌うとストレスが下がりやすいです。お風呂や車の中など、自分が落ち着ける空間が◎。
- 時間は短くてもOK。5〜10分でも気分や体の状態が変わることがあります。
- 呼吸を意識して、ゆっくり歌うのも効果的です。
- のどに痛みがあるときは無理せず休むことも大切です。
「うまく歌う」必要はありません。大事なのは、気持ちよく声を出すことです。
まとめ
歌うことには、気分を晴らすだけでなく、ストレスホルモンの低下、呼吸によるリラックス効果、免疫力の一時的な上昇、社会的なつながりの強化といったさまざまなメリットがあります。
難しいことを考えずに、好きな歌を口ずさんでみましょう。歌は、身近で手軽なセルフケアのひとつです。
参考文献
・Kreutz G et al. (2004). Journal of Behavioral Medicine.
・Fancourt D et al. (2015–2016). Frontiers in Psychology / Human Neuroscience.
・Vickhoff B et al. (2013). Frontiers in Neuroscience.
・Grape C et al. (2003). Integrative Physiological & Behavioral Science.
・Kuhn D. (2002). Journal of Music Therapy.
・Pearce E et al. (2015). Royal Society Open Science.
・Weinstein D et al. (2016). Singing and social bonding.
