ニュース・ブログ

コールドスリープの前に!Perfumeの魅力を再発見
Perfumeの魅力を解説します
目次
なぜ今、Perfumeを“再発見”するのか
テクノポップの三人組・Perfume。2025年9月21日、彼女たちは「2026年から一度コールドスリープに入る」と公式に発表しました。区切り前の“いま”だからこそ、改めて入門し、そして聴き直す価値があるのです。今回は、そんなPerfumeの魅力を再発見するべく、過去の名曲を振り返っていきます。
Perfumeとは?──3人と一人(中田ヤスタカ)の物語
Perfumeは、あ〜ちゃん/かしゆか/のっちの三人によるユニット。広島で結成され、メジャーデビューは2005年。「ポリリズム」(2007年)のブレイク以降、独自の楽曲・ダンス・MCで国内外から評価を獲得し、カンヌライオンズ(2013)、Coachella(2019)、Primavera Sound(2023)など、世界規模の舞台にも立ってきました。
音楽面の屋台骨はプロデューサーの中田ヤスタカ。エレクトロ/ダンス・ポップの感覚で、声の加工(ヴォコーダーやフォルマント処理)やシンセのレイヤーを緻密に設計し、〈歌×ビート×音色〉を三位一体で作り込むスタイルで知られます。中田は日本のエレクトロ・シーンの牽引者としても紹介され、海外のプロデューサーからの支持も厚い人物です。
歩みのハイライト:ポリリズムから世界の大舞台へ
まずは金字塔「ポリリズム」(2007)。タイトル通り、曲中で異なる拍が重なる“ポリリズム”が導入され、ブリッジ部では5/8や6/8といった変拍子が絡む大胆な構成。レーベル側がラジオ向けに変拍子部を省いた“短縮版”も求めるほどの攻めた作りでした。そのうえで、「プラスチック」を表す「ポリ」と、拍の重なりを表す「ポリ」をかけ合わせた、作詞面での遊び心も見事です。
海外の大舞台では、2013年のカンヌライオンズで“動く衣装”×プロジェクションの演出を披露。2019年にはCoachellaに出演し、〈日本の女性J-POPグループとして初〉と報じられました。2023年にはスペインのPrimavera Soundにも登場し、パンデミック以降の海外大型フェス復帰を果たしています。
ライブ演出の革新:テクノロジー×ダンスの化学反応
Perfumeのライヴは“近未来の実験室”。長年のコラボレーター・Rhizomatiksとともに、モーションキャプチャやダイナミック・プロジェクション、ヴァーチャル・シャドウなどの技術を舞台に導入してきました。こうした共同制作は展覧会としても可視化され、テクノロジーが演出の要であることを立体的に示しています。
外部メディアの評価でも、「巨大アリーナをSF的空間に変える」「テクノロジーと振付の衝突が快楽を生む」といった表現が見られます。単に映像が派手なのではなく、音楽の拍と身体の動きに“同期の快感”を作るのがPerfume流。だからこそ、映像抜きの音源だけを聴いても、身体が自然にリズムを刻むのです。
“入門&味わい直し”の曲ガイド
ここからは、Perfumeの魅力を「音の仕掛け」と「聴きやすさ」の両面で体感できる楽曲を、ビギナー向けにやさしく案内します。
1)「ポリリズム」──メインストリームに“変拍子”を持ち込む愉快さ
イントロはシンセの粒立ちが爽やか。しかし中盤で〈拍がズレるのに気持ちいい〉瞬間が訪れます。ここが“ポリリズム”の肝。ビートのパズルを解くようで、気づけば体は4つ打ちに乗ったまま——この“ズレとノリの両立”がクセになる所以です。
2)「Spending all my time(Cannes Special)」──衣装が動く、光が踊る
2013年カンヌライオンズで披露された特別版。モーターで稼働する衣装にプロジェクションをぶつけ、楽曲と視覚効果を一体化させました。録画映像も公開されており、〈音・体・光〉が三位一体になるPerfumeの“生態系”が数分で掴めます。
3)「TOKYO GIRL」「FLASH」など──都会的サウンドの“伸び”
近年の象徴としては、都会的で上品な音色の使い方に注目。中田ヤスタカのシンセは硬質でも、サビでふわっと広がる空間が心地よい。音像の抜き差しが巧みなので、通勤中のイヤホンでもステージの光を想像できます。
4)海外フェスのセットを追体験したいなら
2019年のCoachella、2023年のPrimavera Sound出演は“世界規模の審美眼”に照らしても成立するライブアクトだと証明した出来事。プレイリストで当時の定番曲を並べ、YouTubeのステージ映像を補助線にすると、会場の熱量が追体験できます。
最新フェーズと「コールドスリープ」
Perfumeは2025年、メジャーデビュー20周年のタイミングで、2026年からの“コールドスリープ”入りを発表しました。ファンクラブおよび公式サイトの告知では、「輝いているこの瞬間を刻むため」「より良くかっこいいPerfumeでまた新しい挑戦へ進むため」と動機が語られています。東京ドーム公演の世界配信など、区切りにふさわしい施策も並行して発表されました。
つまり、これは“終わり”ではなく“保存”です。宇宙SFで言えば、次のミッションのための睡眠装置。Perfumeはテクノロジーとともに進化してきたグループですから、言葉の選び方にも彼女たちらしい未来志向がにじみます。区切り前の作品群・公演は、のちの時代にとって「参照の起点」になるでしょう。
まとめ:未来に残すための“今”を聴く
Perfumeの魅力は、キャッチーでありながら構造が大胆な楽曲、そしてテクノロジーと身体表現を融合させたステージにあります。
・耳は「ポリリズム」の知的な快楽に翻弄され、
・目はカンヌや巨大アリーナでの演出に驚き、
・心は三人の一体感と観客との“同期”に満たされる。
コールドスリープの前後で、音源も映像も残り続けるはず。だから今こそあらためて、基本の名曲と代表公演から聴き直してみませんか。未来のあなたが目覚めたとき、〈Perfumeはここから続いている〉と胸を張れるように。