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星野源の凄さを解説します【GEN】

星野源はどうしてすごいのか

「恋」や「SUN」だけじゃない!星野源の本当の魅力

星野源といえば、社会現象となった「恋ダンス」や、ドラマ主題歌「SUN」を思い浮かべる人が多いでしょう。明るく軽快なメロディー、親しみやすい声、優しく包み込むような世界観。
しかし、そのイメージだけで止まってしまうのは、あまりにももったいない。星野源の本当の魅力は、その裏にある“職人技”と、圧倒的な表現力にあります。

彼は単なるポップスターではなく、シンガーソングライターであり、プロデューサーであり、演奏家でもあります。音楽業界の中でも「ミュージシャンから一目置かれる存在」であることをご存じでしょうか?
ここでは、そんな星野源の音楽的な凄さを、経歴や作品を交えながら深掘りしていきます。


音楽キャリアの原点:インストバンド時代からの歩み

星野源は1981年、埼玉県生まれ。2000年代初頭、彼はインストゥルメンタルバンド「SAKEROCK(サケロック)」のメンバーとして活動を始めました。
このバンドはギター、トロンボーン、鍵盤ハーモニカなどを使い、歌のない独自のサウンドを展開。ジャズ、ラテン、ポップス、民族音楽など、多彩なジャンルを取り込みながら、どこか肩の力の抜けた音楽性で人気を集めました。

このSAKEROCK時代に、星野源はギターやマリンバなどを担当し、作曲にも深く関わっていました。つまり、彼の音楽の基礎には、いきなり歌ではなく「演奏」「アレンジ」「構築」があるのです。
のちにソロ活動を始めたとき、彼の楽曲が「歌モノ」でありながら音楽的に非常に緻密だったのは、この経験が大きく影響しています。


プロも唸る!星野源の音楽的凄さとは

星野源の音楽は、一見すると「ポップ」で「聴きやすい」ものですが、実は裏に複雑なリズムやハーモニーが隠されています。
たとえば代表曲「SUN」では、コード進行はシンプルに聞こえても、ベースラインとホーンのリズムが緻密に絡み合い、ファンクやソウルの要素が絶妙にブレンドされています。
また「恋」では、ディスコ・ファンクのグルーヴを現代的に再構築し、ストリングスとリズム隊のバランス感覚が見事です。

多くのプロミュージシャンが「星野源の曲はコピーしてみると難しい」と口を揃えます。
リズムが前に転がるように進む「前ノリ」の感覚、細かく計算されたブレイク、楽器ごとのフレーズの噛み合わせなど、バンドで演奏してみるとその緻密さに驚くのです。
シンプルに聴こえるのに、演奏すると難しい――これは一流ポップスの証でもあります。

さらに、星野源は自身で多くのパートを演奏し、アレンジやプロデュースにも深く関わっています。
ただ「歌う人」ではなく「作品を作る人」として、楽曲全体を設計している点も、音楽家たちから高く評価される理由です。


最新アルバム『GEN』の衝撃:「MAD HOPE」に込められた希望

2025年にリリースされた最新アルバム『GEN』は、星野源のキャリアを総括しつつ、新たな領域に踏み込んだ作品として話題を集めています。
タイトルからもわかるように、「源」というアイデンティティを真正面から打ち出した一枚で、サウンド面でもこれまで以上に実験的です。

収録曲「MAD HOPE」は、その象徴的な楽曲です。ファンク、ハウス、アンビエント、J-POPの要素が自在に行き交い、サウンドの密度が極めて高いのに、不思議と耳馴染みが良い。
リズムセクションは細かく分割されたグルーヴを織り込みながら、ボーカルは柔らかく浮遊し、まるで異なるレイヤーの音楽が一つの空間に共存しているような印象を与えます。

歌詞にも注目です。「狂った希望」という直訳が示すように、困難な時代を背景にしながらも、ポップスとして“希望”を鳴らす。このメッセージは多くのリスナーだけでなく、同業のアーティストからも共感を呼んでいます。
音楽的な挑戦と、ポップの包容力。この両立こそが星野源の真骨頂です。


まとめ:ポップの中に潜む職人技

星野源は、「分かりやすい」だけのアーティストではありません。
インストバンドで培った演奏力と構築力、ソロで開花した表現力、そして最新アルバムで見せた挑戦。彼の音楽には、ポップの中に緻密な構造と職人的なセンスが息づいています。

「恋」や「SUN」しか知らないという人も、ぜひアルバム『GEN』を通して、星野源の音楽の奥深さに触れてみてください。きっと“別の顔”が見えてくるはずです。