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2025.10.29

コラム雑談

カラオケ採点は本当に歌の上手さを測れるのか?

カラオケの点数がすべてじゃない!

1. カラオケ採点システムの仕組み

カラオケの採点機能は、単なる「気分を盛り上げるおまけ」ではなく、実はかなり精密なアルゴリズムで動いています。
代表的な機種であるDAMやJOYSOUNDの採点システムは、歌声をリアルタイムで解析し、音程・リズム・声量・ビブラートなどを数値化します[日本音楽能力検定協会]
つまり、あなたが「ド」の音を歌ったつもりでも、実際には「ド♯」に寄っていたら、そのズレを検出して減点するわけです。
採点システムは「楽譜通りに正確に歌えているか」を基準にしている、いわば「カラオケの監視員」なのです。

2. 採点が重視するポイント

採点システムがチェックするのは主に以下の要素です[ZATSU LAB]

  • 音程精度: 原曲のメロディとどれだけ一致しているか。±20〜30セント以内なら「正解」と判定。
  • リズム精度: 歌詞のタイミングが楽譜通りか。早すぎ・遅すぎは減点。
  • ビブラート: 一定の周期と振幅で安定していると加点。
  • ロングトーン: 音程と音量を安定して伸ばせるか。
  • 抑揚: 声の強弱をつけているか。

つまり、採点機は「正確さ」と「安定感」を重視しているのです。
しかし、ここで疑問が湧きます。「正確に歌うこと=上手い歌」なのでしょうか?

3. 「歌の上手さ」とは何か?

音楽学的に「歌の上手さ」は、音程やリズムの正確さだけでなく、表現力・感情・声質など多面的な要素で決まります。
たとえば、ジャズやブルースでは、あえてスケールから音程を外す「ブルーノート」が魅力になります。演歌では、こぶしや独特の揺れが「味」として評価されます。
つまり「歌が上手い」とは、必ずしも「楽譜通りに正確に歌うこと」ではないのです。
採点システムは「正確さ」を測ることは得意ですが、「人の心を動かす歌」を測ることは苦手なのです。

4. 採点と実際の歌唱力のズレ

実際に、プロの歌手がカラオケで歌っても、必ずしも高得点が出るわけではありません。
なぜなら、プロは「表現」を優先するため、リズムを少し前後させたり、音程を揺らしたりするからです。これが観客には「味」として響きますが、採点機には「ズレ」として処理されてしまいます[Selfish Diner]
逆に、感情を込めずに「機械的に正確に歌う」と高得点が出やすいのです。これでは「採点に勝つ歌」と「人に響く歌」がズレてしまいます

5. 高得点を取るためのテクニック

「いやいや、でもやっぱり高得点を取りたい!」という方のために、採点攻略のコツを紹介します。

  • チューナーアプリで音程を確認しながら練習する。
  • メトロノームを使ってリズム感を鍛える。
  • ビブラートは1秒以上、周期を安定させる。
  • ロングトーンは息を安定させてブレをなくす。

これらは採点システムが好む「正確さ」を磨く練習です。
ただし、これを極めすぎると「ロボットみたいな歌」になってしまう危険もあります。点数を狙う練習と、感情を込めて歌う練習をバランスよく取り入れるのが理想です。

6. 採点を超えた歌の楽しみ方

カラオケ採点はあくまで「ゲーム」として楽しむのが一番です。
点数を競うのも盛り上がりますが、本来の歌の魅力は「人と共有すること」にあります。
友達と一緒に歌って笑ったり、失恋ソングを熱唱してスッキリしたり、そうした体験こそが歌の本当の価値です。
採点機が「80点」と言っても、隣の友達が「めっちゃ良かった!」と言ってくれたら、それが本当の評価なのです。

7. まとめ:点数は目安、歌は自由

ここまで見てきたように、カラオケ採点は「音程」「リズム」「安定感」といった客観的な要素を数値化することには長けています。しかし、それがそのまま「歌の上手さ」を意味するわけではありません。
プロの歌手があえて音程を揺らしたり、リズムをずらしたりするのは、聴き手の心を動かすためです。採点システムはその「人間らしい表現」を「減点対象」としてしまうことがあるのです。
つまり、カラオケ採点は「正確さの物差し」であって、「感動の物差し」ではありません。

もちろん、高得点を狙うのも楽しいですし、練習のモチベーションにもなります。音程やリズムの精度を磨くことは、歌唱力の基礎を固める上でとても役立ちます。
しかし、最終的に大切なのは「誰かに伝わる歌を歌えるかどうか」です。点数が低くても、友達が「泣きそうになった」と言ってくれたら、それは100点満点以上の価値があるのです。

結論として、カラオケ採点は「歌の上手さを測る一つの目安」にはなりますが、それがすべてではありません。点数に一喜一憂するのではなく、「今日はどんな歌い方をしようかな」と自由に楽しむことこそが、カラオケの醍醐味です。


参考文献:
– 日本音楽能力検定協会「カラオケ採点の仕組み」
– ZATSU LAB「カラオケ採点の基準と攻略法」
– Selfish Diner「カラオケ採点の秘密!種類・基準の全解析」
– 音楽学における歌唱表現研究(ブルーノートや演歌のこぶしなどの表現技法に関する文献)