ニュース・ブログ

楽器を持たないバンド!? ボイスパーカッションの世界
ボイパ入門!

目次
1. ボイスパーカッションとは何か?
「ボイスパーカッション」とは、その名の通り「声で打楽器を表現する」技術のことです。英語では「ビートボックス(Beatboxing)」とも呼ばれます。
口や舌、喉を使ってドラムセットの音を模倣し、リズムを刻むのが基本です。ドラムスティックもシンバルもいらない、必要なのは自分の声帯と少しの勇気だけ。
Wikipediaによれば、ボイスパーカッションは「人間の声で打楽器の役割を果たす芸術」と定義されており、単なる遊びではなく、世界中で音楽表現の一ジャンルとして確立されています。
2. 歴史とルーツ:世界と日本の歩み
ボイスパーカッションのルーツは意外と古く、アフリカやインドの伝統音楽にも「声でリズムを刻む」文化が存在しました。インドの古典音楽では「ボル」と呼ばれる口唱歌があり、これは太鼓のリズムを声で表現するものです。

現代的な「ビートボックス」は1980年代のニューヨーク・ヒップホップ文化から生まれました。ラッパーDoug E. Freshは「The Human Beatbox」と呼ばれ、口だけでドラムマシンを再現するパフォーマンスで人気を博しました。
日本では2000年代に「ハモネプ(アカペラ番組)」をきっかけに広まり、特にビートボクサーAfraが世界的に活躍したことで「ボイパ」という言葉が一般化しました[J-STAGE]。
3. どうやって音を出しているの?仕組みを解説
ドラムの音を口で出すなんて、不可能なように思えてしまいます。でも実は人間の発声器官は驚くほど多彩な音を出せるんです。
基本的な音は以下のように分類されます。
- 「B」音: バスドラムの代わり。唇を閉じて破裂音を出す。
- 「T」音: ハイハットの代わり。舌先を歯茎に当てて短い破裂音。
- 「K」音: スネアドラムの代わり。喉の奥や舌で強い破裂音。
これらを組み合わせることで「ドン・ツッ・カッ」というリズムが生まれ、まるでドラムセットを叩いているように聞こえるのです。
さらに上級者は、同時にベース音やスクラッチ音を混ぜたり、メロディを歌いながらリズムを刻む「マルチボイス」技術も駆使します。これは一人でバンドをやっているようなもの。人間の声の可能性は底知れません。
4. ボイスパーカッションの魅力と可能性
ボイスパーカッションの魅力は「どこでもできる」こと。楽器を持ち歩く必要がなく、マイク一本あればライブも可能です。
また、アカペラグループでは欠かせない存在で、リズムセクションとしてバンド全体を支えます。さらに、ソロパフォーマンスとしても成立し、世界大会では一人で観客を熱狂させるビートボクサーもいます。
教育的な側面も注目されています。リズム感を養うトレーニングとして学校教育に取り入れられる例もあり、音楽経験がない人でも気軽に始められる点が評価されています。
5. 著名なアーティストと文化的広がり
世界的に有名なビートボクサーには、Rahzel(元The Roots)がいます。彼は「歌いながら同時にビートを刻む」技術で知られ、観客を驚かせました。
日本ではAfraやDaichiが有名で、YouTubeを通じて世界中にファンを獲得しました。SNSの普及により、ボイスパーカッションは国境を越えて広がり、今や国際大会も開催されています。
YouTuberのHIKAKINさんがよくやっていることで、子供たちの間でも知られていますよね。
また、ジャズやポップスでも「ボーカルパーカッション」として取り入れられ、単なるヒップホップ文化を超えて多様な音楽ジャンルに浸透しています。
6. あなたも挑戦!簡単な練習法
「やってみたいけど難しそう…」という方のために、簡単な練習法をご紹介します。
まずは「B(バスドラム)」「T(ハイハット)」「K(スネア)」の3音を練習しましょう。
リズムの基本は「B・T・K・T」。カタカナにすると、「ブッ、ツッ、カッ、ツッ」という感じですね。これを繰り返すだけで、立派なビートになります。
慣れてきたら、好きな曲に合わせてリズムを刻んでみましょう。最初は笑ってしまうかもしれませんが、それも練習の一部。声を出すこと自体が楽しいのです。
さらに上達したら、声を使ってベース音を鳴らしたり、同時にメロディを歌ったりといった応用にも挑戦できます。これを「リップベース」や「インワードKスネア」などと呼び、世界大会では必須テクニックになっています。
ただし、最初から難しい技に挑む必要はありません。大切なのは「声でリズムを刻むって楽しい!」という感覚を味わうこと。笑いながら練習しているうちに、自然とリズム感や肺活量も鍛えられていきます。
7. まとめ:声が楽器になる未来
ボイスパーカッションは、単なる「音まね」ではなく、世界中で愛される音楽表現のひとつです。歴史をたどれば伝統音楽にもルーツがあり、現代ではヒップホップやアカペラ、さらには教育や健康の分野にまで広がっています。
楽器を持たなくても、誰でも自分の体ひとつで音楽を奏でられる。これほど民主的で自由な音楽があるでしょうか。
そして、AIやデジタル技術が進化する現代だからこそ、「人間の声」というアナログでユニークな表現がますます注目されています。声は一人ひとり違い、同じ音を出そうとしても微妙に異なる。その「不完全さ」こそが、ボイスパーカッションの最大の魅力なのです。