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2025.07.17

コラム雑談

変声前の男の子に合唱・ミュージカルをやらせるべき?──声の変化と音楽体験の意味

「男の子には、あまり高い声で歌わせないほうがいいんじゃない?」
「変声したら全部ムダになるって聞いたけど…」

 

そんな声を、音楽教室でも保護者の方から時折耳にします。確かに、男の子の声は思春期に入ると大きく変化し、幼少期の澄んだ高音域は徐々に失われていきます。そのため、変声前の合唱活動やミュージカル出演に対して「やらせるべきかどうか」悩む方も少なくありません。

 

ですが、結論から言えば やらせる価値は十分にあります。
今回は、その理由と注意点を音楽教育の視点から詳しく掘り下げてみましょう。

 


 

1.変声は「喪失」ではない

変声とは、身体の成長にともなって声帯が長く厚くなることにより、声域や声質が変化する自然なプロセスです。特に男子は平均して11〜14歳頃に大きく変わり、透明感のあるボーイソプラノから、しだいに低音寄りの声になります。

 

しかしこれは「歌えなくなる」わけではなく、「声の機能が広がること」でもあるのです。声域の移行を経験することは、音楽的・身体的な自己認識を深める大切な機会でもあります。

 


 

2.変声前に得た音楽体験は一生モノ

合唱やミュージカルを通じて得られる経験は、単なる「音の出し方」だけに留まりません。

  • 他者とハーモニーを作る感覚
  • 感情を声で表現すること
  • 舞台に立つ度胸と集中力
  • 指導者の言葉を聞き、身体を使って応える力

こうした力は、変声の有無にかかわらず 生涯にわたって役立つスキル です。歌う喜びを知ることで、変声後にも自然に歌い続けたいという気持ちが生まれます。

 


 

3.変声に備えた指導法を

もちろん、無理に高音を出させるような練習は避けるべきです。変声期の喉は非常に繊細で、過度な負荷は声帯を傷つける恐れがあります。

 

プロの声楽指導者やボイストレーナーの中には、変声期の子どもに適した発声法(地声と裏声のバランスの取り方など)を熟知している人も多くいます。そうした環境で指導を受けられれば、 変声期を“乗り越える”のではなく、“味方につける” ことができるでしょう。

 


 

4.男子が“歌うこと”への偏見をなくす

日本では、男子が高い声で歌ったり、感情豊かに表現することに対して、少なからずジェンダー的な偏見があります。

 

しかし、海外では少年合唱団が国家レベルで支援されていたり、少年時代にミュージカルで活躍した俳優や歌手が多数存在します。性別や声質に関係なく、自分の声を使って表現できる喜びを、どの子どもにも開いていくことが大切です。

 


 

5.変声は終わりではなく、新たな始まり

変声によって、今までの音域で歌えなくなることは確かにあります。しかしそれは、「今までの努力が無駄になる」という意味ではありません。

 

むしろ、音楽的な基礎がしっかり身についていれば、変声後にも柔軟に対応できる のです。ミュージカルや合唱で得たリズム感、フレージング、感情表現のスキルは、どんな声になっても失われません。

 


 

【結論】やらせるべきか?→イエス、ただし無理は禁物

変声前の男子が合唱やミュージカルに取り組むことは、音楽的な感性の成長を促し、自分自身の声への理解を深める素晴らしい機会 です。
もちろん、体の変化には個人差があるため、指導者の観察と配慮が欠かせません。

 

音楽を「受験のためのスキル」にするのではなく、「人生に寄り添う表現」として育てていく。その第一歩として、変声前の音楽体験をどうぞ大切にしてあげてください。

 


 

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