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2025.03.30

歌い手は鍛えるべきか?──マイク必須のボーカリスト、それでも身体は楽器かもしれない話

「マイクあるから関係ないでしょ?」


そんな言葉を聞いたことがあります。確かに、今や高性能マイクとエフェクトで、どんな声でもある程度“整えて”届けられる時代。でもそれって、本当に「鍛えなくていい」ってことなんでしょうか?

今回は、「歌い手は身体を鍛えるべきか?」というテーマを軸にしつつ、声の出し方、歌手の体型、発声法の違いなど、あれこれ脱線しながら語っていきたいと思います。


マイクがあるから発声はどうでもいい? いや、それは違う

 

たしかにマイクは便利です。小さい声でも拾ってくれるし、ライブでも音量バランスを調整してくれる。だけど、「聞こえる」と「伝わる」は別問題。

例えば、徳永英明さん。彼の繊細な歌声は心に染みる。でも実は、発声という観点では非常に柔らかく、力みを抑えたスタイル。決して“声を張って”いるわけじゃない。でもその分、表現のニュアンスに全神経を注いでいる。これは「鍛えていない」のではなく、「鍛え方が違う」んです。


「腹から声出せ」って何?──カワイイ地声はのどから?

 

アニメ声やアイドル声を「のどから出してる声だからダメ」と断じる風潮もあるけれど、実際には“のど声”でも魅力的な人はたくさんいます。ただ問題は「持続性」と「喉への負担」。

喉だけで可愛さを出そうとすると、長時間歌ったときにダメージが大きい。だから「腹から声を出せ」って言われる。これは「声を太くしろ」という意味じゃなくて、支える場所を変えろというアドバイスなんですよね。


井口理はなぜ唯一無二なのか?──声楽とは違う、でも身体は使ってる

 

King Gnuの井口理さんの声って、クラシックや声楽の発声とは全然違う。でも、じゃあ「鍛えてないのか」というとそんなことはない。彼は声楽出身なだけあって、身体の響かせ方をよく知ってるんですよ。

つまり、「クラシックの発声=腹から出す」だけじゃなくて、「ロックボーカル=喉だけ」でもない。それぞれの音楽に合った身体の使い方をしていってこと。これ、めちゃくちゃ大事。


太ってても爆音が出るオペラ歌手/マッチョは歌いにくい?

 

オペラ歌手に「太った人が多い」のはよく言われます。でも、これは単純に「太ってると声が出る」わけじゃなくて、「体格の大きさ=共鳴空間の大きさ」と関係があるとも言われてます。

じゃあマッチョは? 実は筋肉ムキムキすぎると、胸郭が硬くなって声が共鳴しづらくなる、なんて説も。だからボーカリストでガチムチって意外と少ない。身体の柔軟性と声の響きって、けっこう関係してるんですよ。


バンドマンの体型は極端?──普通体型のボーカルって誰だ?

 

バンド系ボーカルって、ガリガリかぽっちゃりが多くて、いわゆる“普通”の体型が少ない気がしませんか?
これ、偶然じゃないと思うんです。ガリガリな人は神経質で繊細な声が出やすかったり、ぽっちゃりな人は体の共鳴空間が大きくて声量がある、なんて説もあるし、ステージ映えする個性が体型にも出てるのかも。


鍛えるとは、筋トレじゃない──表現力を支える「身体」

 

結局のところ、「鍛える」というのは筋肉をバキバキにすることじゃありません。
自分の声の特性を知って、それを最大限に生かすための身体のコントロールを身につけること。

それが“声を鍛える”ということなんだと思います。


結論:鍛えなくていい歌い手なんて、いない

 

マイクがあるから、ボーカルエフェクトがあるから、「鍛えなくていい」は大きな誤解。
逆に、「身体をどう使うか」がますます問われる時代になってる気がします。

キレイな声じゃなくてもいい。太ってても痩せててもいい。でも伝わる歌を届けたいなら、自分の身体という楽器をもっと知って、使いこなすべき。

それが「歌い手は鍛えるべきか?」という問いへの、私なりの答えです。

鍛え方が知りたい方、ぜひ、オーラボイスボーカルスクールでボーカルを習ってみてはいかがでしょうか。

講師・社員一同、お待ちしております。